大阪桐蔭
ボール支配率の高かった前半。
だがトライまで結びつけることはできず「しんどい時間を過ごした」と言うは12番・名取凛之輔キャプテン。
ハーフタイムには「コンディションが悪いから、もう一回丁寧に」と仲間に伝え、後半へと挑んだ。
「後半の入りで最初のトライが取れて、そのまま良い流れが掴めた」と振り返る。
自信をもったのは、ノートライに抑えたディフェンス。ラインアウトはことごとく上手くいかず、課題として残った。
それでも勝ち切ることができたのは、スクラムで圧倒的な強さを発揮したから。
「スクラムでプレッシャーをかけてくれていたので、本当にそのおかげで流れがやってきた。多少焦りもありましたが『雨で想定内。全員で落ち着いてやろう』と声を掛け続けていた」という。
スクラムでペナルティを奪う度にFWのもとに駆け寄った名取キャプテン
今年の大阪桐蔭が掲げるスローガンは『結実』。
「努力の成果が実を結ぶ、という意味を込めました。僕たちは努力をしないと日本一には届かない。全員がチャレンジャーの気持ちを持って、繋がり努力することを意識しています。最後、笑って終われるように。実を結ぶために努力をしたい」と誓う。
まずは、今季1つ目の頂点を掴み獲るため。
3年前、準決勝で敗れた相手・桐蔭学園に、再び挑む。
東海大相模
「我々にとっては、雨で良かった。ただちょっとしたゲームのあやがもったいなかったな、と。相手の10番が上手でしたね。」
恵の雨を活かすことができなかった、と三木雄介監督は悔やんだ。
ノートライで終わった準々決勝。
トライを決めきることのできない苦しさは、関東新人大会でも味わった。
「ずっと課題でした。それが今日、明確になった」と三木監督は話す。
選手たちには力がある。全国でも十分通用する、ということは選手たち自身が一番分かっていると思う。
だからこそ「どういう形でゲームマネジメントをしていくのか。もっともっと高めたい」と続けた。
大会初のベスト8入りを果たした東海大相模。誇りと自信、そして覚悟を得た大会となった。
「子どもたちのおかげでこういう経験をさせてもらいました。本当に感謝しています。ただここで止まるチームではないので。これを契機に、もう一回強くなれると思う。残りの日数、頑張ります。」
そう残し、熊谷を後にした。
***
この一戦に人一倍の想いをもって挑んだ選手がいる。
スタンドオフの長濱堅選手。
神奈川王者として挑んだ2年前の花園。0-55で大阪桐蔭に敗れた試合でベンチ入りしており、グラウンドレベルで悔しさを味わった。
「とても悔しかった。その経験から体重を増やして、練習も変わりました。」
だから準々決勝の対戦カードが決まった時には、緊張よりも「やり返してやるぞ」という気持ちが勝る。良い準備もできた。
だが、届かなかった10点。再びノートライで終わった悔しさは、スタンドオフとして自責の念にかられる。
「チームが負けてしまったので、10番としても負け」と言葉少なに話した。
入学時から増えた体重は12㎏
チームの頭脳であり、今季はバイスキャプテンを務める長濱選手。チームミーティングも、自らが主導する。
「みんなが支えてくれている。本当に個性が強い人ばっかりですが、一つの目標に向かっていくときの団結力がすごい。みんな同じ方向を向いたら最強です。」
だからこそ、「バックスはエリアマネジメントで強くて大きいFWを前に出してあげること」が今大会の、そしてこれからも鍵となると理解する。
この壁を超えるために。
「僕がもっと冷静にマネジメントをしていきたい」とベクトルを自分自身に向けた。
***
試合を終え、涙を必死に堪えたのは2番・矢澤翼キャプテン。
「悔しさが残りました。常翔学園、大阪桐蔭と2試合連続で大阪のチームと対戦して。スクラムでボッコボコにされた。悔しさが残ります。」
2年前の花園と同様、スクラムで圧倒された事実が重くのしかかった。
マイボールスクラムでは快足ウイングの恩田暖選手を真後ろに置き、チャンスメイクを図ったが、ボールをキープすることすら難しかった
「重たいFWに対してスクラムを組む練習をしなければいけない。基礎からやり直したい。」
キャプテンとして、そしてスクラムの要である2番として、断言した。
交替後も座らずグラウンドを見つめた矢澤キャプテン。「仲間がグラウンドでハードワークしている。キャプテンとしては座ってられない」
- 1
- 2