『3.23』の悔しさを跳ね返した東福岡「俺たちが主役」。御所実は人間形成に力を、東海大相模は「良いラグビーを教えてもらった」|サニックスワールドラグビーユース交流大会2024 大会2日目

16:00/スタジアム

プールD
サウスランド ボーイズ ハイスクール(ニュージーランド)14-12 東福岡高等学校(福岡)

東福岡高校

合言葉は『3.23(サンテンニーサン)』。

第25回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会初戦が行われた、3月23日。

目黒学院に逆転負けを喫した悔しさを、全員がエネルギーとして持ち続けた37日間だった。

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「3.23を忘れない」と話したのは、No.8古田学央キャプテン。

衝撃的な1回戦敗退から1ヵ月。

この間、どれだけ苦しい状況になっても「3.23」と全部員が言い続けてきた。

「メンタルもきつかった」と、正直に打ち明ける。

だがこの日は、昨年度のニュージーランド王者を相手に、苦しさを全て取り払うかのような『4.29』の50分間を見せた。

先制したのは、東福岡。

前半7分。ゴール前まで進んだ東福岡は、10番・髙田哲也選手が絶妙なタイミングで短いキックパスを蹴り上げると、ポール目の前で受け止めたのは15番・深田衣咲選手。

主導権を握る、貴重な先制トライを奪った。

その後、ニュージーランドに1トライを返され7-7の同点で折り返すと、再びリードを手にしたのは東福岡。

相手の連続ペナルティからゴール前までやってくると、1番・勝又篤選手がクイックで持ち出す。そのラックサイドを、4番・梁瀬将斗選手が突いた。

23番・川添丈選手のコンバージョンゴールは残念ながら外れたが、7-12と5点の優位性を得た。

だがその後はペナルティがかさみ、陣地を押し下げらる展開が続く。

後半15分、自陣5mでのマイボールラインアウトで軌道が乱れると、その隙を逃さなかったニュージーランド。トライを取り切り、コンバージョンゴールも成功させた。

14-12と、この試合初めてのリードを許す。

最後の10分間は、今季最も「負けたくない、勝ちたい」が表れた時間だったであろう。

自陣でジャッカルを決めれば、雄叫びを上げたのは6番・梁瀬拓斗選手。

ラストワンプレーで相手からボールを奪い返したディフェンスには、会場中が沸いた。

ゲインラインを切りながらボールを繋ごうとしたが、しかし相手も必死のディフェンス。最後はボールがこぼれ、ノーサイドを迎えた。

悔しい2点差の敗戦となった。

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この日東福岡が見せたのは、低くて強くて速いディフェンスだった。

もちろんグリーンウォールの完成には届かないが、その礎が築かれていることを示した。

パス回しのスピードも上がった。

そのために必要な各人の判断力、そしてチームとしての統一性が向上していることをしかと表した。

全国選抜大会時には、土の中に隠れていた東福岡らしさ。

だが、ここ地元・福岡で『東福岡』になった。

「今日、良いゲームができた。ヒガシへの声援も大きくて、自分たちのパフォーマンスを最大限に出せる環境もあった。本当に良いゲームができました(古田キャプテン)」

この大会が、ホーム・福岡で行える最初で最後の晴れ舞台。「俺らがやらなきゃいけない」という使命感を力にした、50分間。

「俺らが主役だ、という気持ちを1人ひとりが持って臨んだ結果だと思います」

試合直後には、笑顔で相手チームと握手を交わした古田キャプテン。

だが、多くの部員がつめかけたバックスタンドへの挨拶から戻ると、目には涙が浮かんでいた。

「悔しい。でも、やり切れた。正直に言えば、(予選を)1位通過したかった。でも、やり切れました」

悔しさと、新たなステージ到達した嬉しさと。まとまらない、幾重にもかさなる感情を吐露する。

2024年、春の終わり。東福岡は新たな扉を開いた。

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ゴールラインをこじ開けたら、大きなガッツポーズ。勝負所でのジャッカルを決めると、拳を突き上げ雄叫びをあげたフィールド上の選手たち。

「今年のチームは、マインドが違う。熱い」

そう話したのは、藤田雄一郎監督だ。

しかしその姿が従来の東福岡らしさか、と問われれば『ノー』。藤田監督が求めるカラーでは、ないかもしれない。

だが「それを許している」のだという。

「彼らのやりたいようにしてあげられたらな、と思って」

藤田監督自身もなるべく目線を下げる日々だという。

「迷惑かもしれないけど、一緒にじゃれ合おうかな、って思ってる」とつぶやいた。

それまでは圧倒的なアタック力が魅力だったチームから『フルモデルチェンジ』をし、グリーンウォールを掲げディフェンスに特化したのが2年前。

今年は『東福岡3.0』が到来したことを予感させる。

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藤田監督は静かに切り出した。

「この1ヵ月間、本当にハードワークしてきたんよ」

全国選抜大会での学びから、新たな取り組みをいくつか始めた。

そのうちの一つが、体作りの見直し。特に力を入れたのは、補食を摂取するタイミングだ。

これまでは練習終わりに取り入れていた補食だが、今年は練習中にも口にするようになった。

2時間の練習を行う場合、開始から1時間後には必ず15分間の休憩を入れてリカバリー。そしてもちろん、練習後にもリカバリー。

計2度のリカバリーが功を奏し「体重が落ちなくなった」という。

もちろんフィジカルを鍛え、ベーシックスキルの向上にも努めた。

「彼らのマインドが凄い。今年の子たちは、経験値がないから自信がないんです。『やってきたことを、グリーン(東福岡のファーストジャージー)を着て体現できた』という経験が、この2年間全くなかった。だからいろんな遠征にも足を運んで、いろんな経験をさせてあげたい」

僕は経験値を与え続けたい、と言った。

試合後、藤田監督が選手たちに伝えた言葉がある。

「めっちゃ楽しかった。ありがとう。めちゃめちゃ成長しているよ」

スタッフ陣も「心動かされている」と打ち明けた。

「こいつらすげー、って思います」

そして「この負けが、また強くなる」と言い残し、次の戦いへと向かった。

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