同校初となる埼玉新人大会での優勝を果たし、第25回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会への出場権を獲得した昌平高等学校。
全国選抜大会では1回戦で花園常連校・尾道(広島)と対戦し、5-24で敗戦。
コンソレーション戦(1回戦で敗れたチーム同士が戦う試合)では青森山田に46-7と快勝し、新チームは全国の舞台で船出した。
埼玉県には『プラチナジュニア』という取り組みがある。
非凡な能力を有する県内中学生年代のアスリートを新たに発掘・認定し、種々のサポートを通じて、自己の新たな可能性に果敢に挑戦するものだ。
中学生まではサッカーに勤しんでいた香曽我部拓海選手(3年、LO)も、プラチナジュニア出身。
そこで昌平高校ラグビー部の御代田誠部長に声を掛けられ、高校からラグビーの道へと進んだ。
開花したのは、新チームになってから。
昨季の花園出場を逃した昌平は、年末に奈良県・御所実業高校との合同練習に向かった。
そこで、頭角を現す。
「得意なボールキャリーが、御所合宿で通用したことが自信になりました」
力強いボールキャリーに、掴まれても倒れない体躯は、全国選抜大会でも必要十分。青森山田戦では、なんとハットトリックを決めた。
体重が増え、当たり勝てるようになったことも自信に繋がったのではないか、とSH白鳥蓮キャプテンは補足する。
180cm、87kg。
昨季から取り入れている食育も、実を結び始めている。
スクラムハーフの白鳥キャプテン曰く「ボールを渡しやすい。ちゃんと前に出て、ボールキープができる」と、ボールを託す先の選択肢が増えたという
それでも本人評は「まだまだ」だ。
「尾道戦では、ボールキャリーで勝てなかった。もっと体重を増やして力をつけていきたい」と高みを目指す。
ロックとしてラインアウトのジャンプも上手くなりたいし、もっともっとディフェンスで相手を圧倒できるようになりたい。
全国デビュー戦での、大きな学びを得た。
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自身初の全国大会出場となったのは、SH白鳥蓮キャプテン。
1回戦・尾道戦ではやりたいことを遂行できず、チームがバラバラになってしまったことを敗因と捉えた。
だが宿舎に戻った後のミーティングで、昌平としてのプランを整理。チームとしてまとまれたことが、青森山田戦では功を奏した。
失敗から学びを得て、強くなる。1年間は、その繰り返しだ。
コミュニケーションを密に取ること。
アタック先を絞ること。
2人目のサポートレースで、相手に勝つこと。
試合中の具体的な声掛けの重要性を、地元・埼玉で行われる全国選抜大会で学んだ。
「強豪校をたくさん見ました。フィジカルやスピードのレベルが高かった。自分たちがもっと求めていかなきゃいけない部分だと思いました。もっと成長できる、と今見ている景色を見て思いました(白鳥キャプテン)」
目標は、ただ一つ。
チーム初の、埼玉4冠。そして、悲願の花園年越し。
頂を見て、その過程を描いた昌平は、踏み進める足元を確かにした。