國學院栃木
「悔しい」
「こんなに点差を広げられるとは思わなかった」
ゲームメーカーの口から立て続けに出た言葉は、驚き交じりの悔しさだった。
前日の目黒学院戦には、フルメンバーが出場。ノーサイドの瞬間までどちらに勝利が訪れるか分からない一戦を戦った翌日、大きなメンバー変更なく決勝戦を迎えた。
暑さと連戦とで疲労が表れたのは後半。
風下に立ったことも相まって、思うようなエリア取りができなくなり、敵陣22mに入った回数は数えるほどになってしまった。
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それでも風上に立った前半、最初に勢いを掴んだのは國學院栃木だった。
2つのペナルティゴールで先制点も奪った。
ゴール前まで攻め込み、フェーズを重ねトライを狙う。
だが最後はペナルティ。取り切れない時間は続いた。
「トライを取れないと勝てない、ということが分かりました。トライを取れる練習を、夏合宿にしていきたい」
スタンドオフ・神尾樹凛選手は、ゲームメーカーとして課題を明確にした。
埼玉県出身の神尾選手。
地元・熊谷ラグビー場Aグラウンドで行われた、高校生活最後の公式戦。
「幸せでした」とほほ笑んだが、しかし「負けちゃったので、良い気持ちでは終われない」とつぶやいた。
自身はこれから怪我の治療に専念するため、数ヶ月グラウンドから離れる。
仲間とともに楕円球を握れないからこそ、時間をかけて『ラグビー脳』を磨く予定だ。
「コクトチにはブレインがいないので、チームのためにもっとたくさんラグビーを勉強します。課題をたくさん見つけて、冬までに対応できるようになりたいです」
チームを俯瞰することで、見える新たな景色は生まれる。
発見する気付きは、真冬の笑顔へと繋がっていく。