早稲田大・佐藤「テストマッチに相応しい選手に」早稲田大・矢崎も「チャンスを逃したくない」帝京大・森山は「人生計画が狂った」日本代表 宮崎合宿に参加中の大学生3名の声

宮崎県宮崎市で合宿中のラグビー日本代表は6月11日(火)、U20日本代表候補と実戦形式の合同トレーニングを実施し、その模様を報道陣に公開した。

20分×3セットで行われたアタック・ディフェンス練習では、エディー・ジョーンズHCの指定した位置からラインアウトでプレーをスタート。途中でメンバーが入れ替わりながらも、フルコンタクトで激しいプレーを絶え間なく行った。

また同合宿には、早稲田大学4年のフッカー・佐藤健次選手、帝京大学2年の右プロップ・森山飛翔選手、そして練習生として早稲田大学2年のフルバック・矢崎由高選手が参加しており、練習後それぞれに話を聞いた。

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フッカー 佐藤健次

「日本代表キャップのつく試合に出場できるよう、毎日100%の努力をして成長したい」と話すは早稲田大学4年・佐藤健次選手。

合宿が始まり6日しか経っていないが、日々「成長を実感している」と話す。

同じポジションには、先月末に行われたリーグワン決勝戦のスターティングメンバー、坂手淳史選手と原田衛選手が揃う日本代表。

圧倒的に足りていない、と自身が認識しているセットプレーとディフェンスに、アドバイスをもらうことも多い。

「毎日一歩ずつ成長できている。本当にいろんなものを吸収できている」と充実した表情をのぞかせる。

目指すは、今夏の日本代表キャップ獲得。リポビタンDチャレンジカップ2024のJAPAN XV戦だけでなく、日本代表戦出場を狙いたい。

そしてその意志は、既にエディー・ジョーンズHCへと伝えてある。

「でもその結果だけを追い求めるのではなく、2027年のラグビーワールドカップにスタメンで出ることが4年間の目標です。そのために今を成長させたい」と未来を見据えることも忘れない。

フッカーに転向し、3年目に突入したばかり。先輩たちと比べて、落ち込んでいる暇はない。

「テストマッチに出るに相応しいプレイヤーになりたい。イングランド戦まであと10日しかないですが、成長していきたいと思います」

この日は福井翔大選手らとともに、遅くまで自主練習に取り組んだ。


合宿中のルームメイトは坂手淳史選手だという

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プロップ 森山飛翔

「今回のメンバーでは、一番のサプライズのような感じ」と自身を形容した。

京都成章高校時代は、No.8と右プロップの両刀。

帝京大学入学後は3番に専念すると、1年足らずで日本代表へと上り詰めたのが、帝京大学2年・森山飛翔選手だ。

エディー・ジョーンズHCは、森山選手について「生まれながらにボールキャリアーとしての才能がある」と表現した。

「きっと(当初は日本代表としての)構想にすら入っていなかったと思うのですが、フィールドプレーの練習が多かった菅平合宿でアピールできた」と、森山選手自身も日本代表入りの理由を考える。

今合宿には一回り以上年の離れた先輩もおり、難しさを感じる毎日だというが「スクラムで努力して強くなれば、試合に出られるチャンスがあるかもしれない」と道を描く。

今年、20歳。U20日本代表に入る資格もあったが、自身は帝京大学での地位確立を目指した。

「昨年は上杉さん(太郎選手、現・九州電力キューデンヴォルテクス)がいたので、先発で出られなかった。帝京という優勝チームのスターティングメンバーとして出たい、という気持ちが強くて、U20日本代表には参加しないという判断をしました」

だが、気付けばU20日本代表を飛び越え、一気に日本代表へ。

「人生計画、結構狂っちゃいました。本当は大学3年生で関東大学ラグビーオールスターの対抗戦メンバーに選ばれて、4年生の代でも大学日本一に、と考えていたんです。でも急に日本代表に呼ばれちゃった。一番上の目標に、来てしまいました」

今合宿でスクラムを指導するのは、アシスタントコーチのオーウェン・フランクス氏。ニュージーランド代表108キャップを有し、2度のワールドカップ優勝を経験している同氏が左プロップへと入り、直接組み合って教えてくれることもあるという。

「名前が凄すぎて、(教えてもらった)技術よりも感動の方が大きかった」と笑顔を見せながら「外国人コーチらしく、たくさん褒めてくれます」と褒められて伸びるタイプの一端をのぞかせる。

今夏のテストマッチに出場できれば、もちろん嬉しい。

だがそれよりも、今合宿の焦点に置くは『森山飛翔という1人のプレイヤーがどう成長するか』だ。

「新しい情報が入ってくるので、全部を一気にやるのは難しい。でも、今日やったことを明日もできて、さらに明日は新しいことを学べたら、それが成長に繋がると思う。一気に(成長を)加速はできないですが、絶対に追いつけるように一つずつ加速させていきたい」と目の前の一歩を大切にする。

今回の日本代表入りは、小さなチャンス。

「そのチャンスをもっと広げられるように、もっと強い選手になりたい。(プレーの)トータルで日本代表入りを判断されるような選手になりたい」と将来を見据えた。


同部屋はファカタヴァ アマト選手。「朝起きたら『元気?』と聞いてくれますが、そりゃ元気なので(笑)既に5回くらい、帝京大学生ということを説明しました」と報道陣を笑わせた

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フルバック 矢崎由高

コンディション調整から復帰したばかり。

ゲームフィットネスには苦労している部分もあるが「(日本代表の中でも)ランニングスピードで劣ることはない」と話したのは、早稲田大学2年・矢崎由高選手。

課題は「精度とプレー中の判断スピード」と明確なポイントも、今合宿で既に見つけた。

練習中には手を叩いて仲間に声を掛ける姿や、円陣を解く時には「ハリー・セット(早くポジションへ)」と自ら声を上げ、年上ばかりの選手たちとコミュニケーションを取る様子も多く見て取れる。

「意図的にコミュニケーション量を増やそう」と努力しているのだという。

この日は、自身も先月まで参加していたU20日本代表候補とのアタック・ディフェンス練習が行われた。

練習生という立場ながら、先発候補と思われる15人のメンバー編成時に、フルバックへと入った矢崎選手。

「(松田)力也さんがコンディション不良でチームを離れている影響もある」というが、それでも11日後に控えるはイングランド代表戦。

「チャンスがあるならば逃したくない」と力強い言葉をのこした。


ハードスケジュールも「楽しい。新鮮です」同部屋は、スクラムハーフの藤原忍選手

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