「将来日本代表を目指したい、という強い意志を持った28人がスコットランドに行く」U20日本代表、勝負のワールドラグビーU20トロフィー2024開幕まであと1週間

ワールドラグビーU20トロフィー2024(7月2日~17日、スコットランド・エディンバラ)の開幕を来月に控えるU20日本代表は、6月27日(木)まで千葉県内で最終合宿を行っている。

24日(月)には練習の模様を報道陣に公開し、大久保直弥ヘッドコーチがインタビューに応じた。

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やれることは全てやった

「みんなの『ここでプレーしたい、勝ちたい』という意気込みをコーチとしてものすごく感じています」と話すは、大久保HC。

昨年12月に始まったトライアル合宿以降、19歳、20歳の選手たちと時間をともにしてきた知将は、この半年間で最も穏やかな表情を見せた。

「自分たちのここまでのプロセスは間違っていないんじゃないかな、と思っています。ただ、甘い世界じゃないので。勝って終われるように。最後まで選手をサポートしていきます」

1ヵ月に渡るFW合宿が行われたのは、雪降る2月のこと。

3月にはリーグワン各チームとの練習試合を行い、4月にはパシフィックチャレンジで強フィジカル有するアイランダーと対戦。見事優勝を果たした。

5月のニュージーランド遠征では、フィジカルにスキルが加わったNZU(ニュージーランド学生代表)との2試合を経験。

そして6月、日本代表との試合形式の合同トレーニングで自分たちの現在地を確認した。

やれることは全てやった。

新たにやらなければいけないことは、ない。

この日の練習では、息を整える間もない激しいメニューが続いた。

3グループに分かれた激しいコリジョンの練習から、2グループに分かれたアタック・ディフェンス練習へ。ラインブレイクしても、奥深くに蹴り込まれても、プレーを止めない実戦形式のトレーニングが続いた。

わずかなウォーターブレイクを挟んだ後は、3人1組となったリレー形式のランメニューへと移行。

そして再び、アタック・ディフェンス練習へと戻った。

全ては来るU20トロフィーで優勝し、20歳以下の世界最高峰の舞台『ワールドラグビー U20チャンピオンシップ』へと再び昇格するため。

「これからは、何かを足すのではなく、辞める勇気も絶対大事だと思う。そこはヘッドコーチの責任でやります」と大久保HCは力強く語る。

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ワールドラグビーU20トロフィー2024に出場するU20日本代表メンバー28人を決定したのは、NZUとの対戦を終えた後だった。

28人から漏れた選手たちには、大久保HC自ら、ニュージーランド遠征後に伝えたという。

「NZUとの試合が、プレータイムを含めて(最終テストの場だと)お互い確認していました」

6月11日に日本代表との合同トレーニングを実施した後、正式発表は19日。

「将来日本代表を目指したい、という強い意志を持った28人がスコットランドに行くという認識で、我々はサポートしています。そのプレッシャーから逃げる選手、覚悟の決まっていない選手はいない、と信じたい自分がいます」

コロナでなかなか海外遠征もできなかった世代。

グループで話すのではなく、一対一でしっかりと選手たちをケアしてあげることがスタッフ・コーチたちの役割だと付け加えた。

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逃げず、立ち向かい、出し切る

メンバー発表時、大久保HCは選手たちについて『どんな困難な状況にもチームで乗り越える覚悟をもった28人』と表現した。

その理由について「このチームで体を張りたい、もっと助けたい、とグループで助け合う感覚は、リーグワンのチームとも、サンウルブズとも異なる」と説明する。

「1人でラグビーができることは何一つありません。成熟していない部分があるからこそ、すごくピュアな部分が見えてくる。緊張してない、と口にはしながらも、目に見えて緊張が伝わってくる選手もいます。いろんな選手を見てきましたが、強がっているのもかわいいな、と思いました。勉強になっています」

倍以上離れた選手たちから、学ぶこともある。

一方でU20日本代表を大久保HCが、日本代表をエディー・ジョーンズHCが率いるようになって以降、日本代表へのステップアップがより明確となったことは選手たちに良い影響を与えている。

「(矢崎)由高が、イングランド戦に15番で出ました。すぐ(日本代表に)行ける、という感覚をみんなが持ち始めました。分かりやすくなってきたんじゃないかな、と。スコットランドとアウェーで戦って、良いプレーで自分が活躍したらすぐにエディー(・ジョーンズ日本代表HC)に呼んでもらえる、という分かりやすい構図が、より選手を成長させると思います」

チームとして戦った先に、個人の更なる成長の場が開かれていることは、若者たちにとって大きな希望となる。

「責任はヘッドコーチがとればいい。だから選手たちには、逃げないで立ち向かって欲しいと思います。たとえ失敗したとしても、彼らに責任はありません。ただそこから逃げてしまったら、次はない。インターナショナルな選手になりたければ、そこから学べばいいだけですから。我々はそれぐらい積み上げてきています。だから、出し切って欲しい」

逃げずに立ち向かうこと。そして、勝負の一戦で出し切ること。

U20日本代表は、6月28日(金)に日本を出発し、ワールドラグビーU20トロフィー2024での4連戦へと挑む。

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