長野県上田市菅平高原・アンダーアーマー菅平サニアパークで開幕した、KOBELCO CUP 2024 第20回全国高等学校合同チームラグビーフットボール大会。
今大会『最も笑顔が似合うキャプテン』を見つけた。
U17東海ブロックにとって初戦となった、U17関東ブロック戦前のウォーミングアップでのこと。
LO三治蒼生キャプテンは終始、柔らかな、だが満面の笑みで仲間に声を掛けた。
背中に手を当て、チームとしての士気を高める。
ピッチイン前には選手一人ひとりと笑顔でハイタッチを交わした。
その意図について、三治キャプテンはこう語る。
「僕たちはコンバインドチーム。まだ団結できていない部分もあるので、僕がキャプテンとしてみんなをグッと近づけないと、試合で乱れてしまうこともあると思いました。チームのためにも、自分が声を出して、みんなを笑顔にさせて。そして自分が一番ハードワークすることを心掛けています」
愛知県で生まれ育った。
中学時代には愛知県スクール選抜でキャプテン。
シャトルズラグビースクール刈谷の初期メンバーだったため、中学3年間でキャプテンを務めた。
生粋のキャプテシーは、豊田自動織機でロックとしてプレーした父から譲り受ける。
長くポジションを務めたのはセンターだが、昨夏からロック・フランカーにコンバートした。
今後のことを考えると「きっとロックは無理なので」と笑う。
「フランカーとして誰よりもハードワークして、(中部大春日丘の2年先輩で、現在帝京大学1年の福田)大和くんを超えられるように。大和くんを目標として、超えていきたいです」と目を細めた。
初戦・関東ブロック戦では、スコアを離された。
後半トライを重ねられると、仲間の目線はいささか下がる。
だから、キャプテンとして。三治選手は、力強い言葉を投げかける。
「絶対勝とうや」
自分の仕事はやる。チームにも気を配る。
そして、勝つ。
その意志を、プレーと言葉で仲間に示した。
写真中央・5番が三治キャプテン
河野邦晃監督(愛知県立一宮起工科高校)は、三治キャプテンについて「常にポジティブな言葉を掛けてくれる選手」と表現する。
「プレー面では、寡黙に、愚直に体を当て続けることのできる選手。言葉も噓偽りがありません。一番自信を持って、キャプテンに推薦できる選手。いつも助かっています」と評価した。
三治キャプテンは言う。
「自分がキツい顔をしたら、チームはどんどん下がってしまう。だから僕はどれだけキツくても、笑顔で一番楽しむことを意識しています」
ルーツを辿れば、その前向きな思考は、豊田自動織機でキャプテンを務めた父から受け継いだもの。
「(父は)色々なことを教えてくれます。マイナスなことを考えても意味がないので。プラス、プラスで考えることが好きです」
笑顔の似合うキャプテンが率いる、U17東海ブロック。
大会最終日、全員で、笑顔で菅平を後にしたい。