TEAM VOICE
國學院栃木
関西勢と行った前・後半戦。
結果は伴わなかったが、LO笹本直希キャプテンが悲観することはなかった。
「焦点を当てていた大阪桐蔭戦、モールが通用しました。タックルも刺されて良かったです。ですが奪われた2トライは自分たちのミスから。もっと体力をつけて、大阪桐蔭さんのディフェンスを自分たちのアタックで砕けるように。モメンタムをもったアタックをしていきたいと思います」
今夏、國學院栃木のスタンドオフに入っているのは2年生の福田恒秀道選手。
これまでは12番の位置に立つことが多かったが、3年生SO・神尾樹凛選手の怪我にともない10番を務めることになった。
「センターの時は、ゲームコントロールよりも自らのラインブレイクが恒の良い所でした。でも今は、チームをコントロールすることにプラスアルファのラインブレイク、というスタイルが身についてきています。どんどん成長して欲しいと思います」
花園で笑うためには、チームの底上げが肝心。
各人がそれぞれの成長を、夏に狙う。
大阪桐蔭
今菅平合宿で大阪桐蔭がフォーカスする3つのポイントがある。
ブレイクダウンにタックル精度、そしてアタックのバリエーション。
初戦となった國學院栃木戦、大阪桐蔭のCTB名取凛之輔キャプテンは「全員、全然満足できていない」と話した。
「フィットネスが全然足りていなかった。ディフェンスでもっと会話をして、出ている15人が3つのテーマを表現することが大事になると思います」
この日は菅平合宿での第1戦目。
「勝てたことは良かったですが、また新たな課題も出ました。どう課題を修正するのか、どう自分たちの成長に繋げるのか、考えてみんなで頑張っていきたい」と話し、次の戦いへと向かった。
関西学院
伝統のタックルを強みに、ブレイクダウンにこだわるのが今年の関西学院スタイル。
「ラックでの勝負にもバチバチに行くことで、高いレベルの相手にも常に僕たちがボールを持つ時間を長くすること」にチャレンジした。
この日の相手は、関東の雄・國學院栃木。
出来栄えは「完璧でした」と笑顔を見せるは、CTB成田陸キャプテンだ。
チームはこの日、岐阜県・ひるがの高原での合宿を終え菅平へと移動してきたばかり。
連戦に移動疲れがある中でも、完璧な戦いができた理由は『熱』だった。
「チームで大事にしている言葉です。1人ひとりが熱を持って、どこの場面でもラグビーをすることを意識しています」
今季のチームスローガンは、漢字一文字で『向』。
他の漢字と合わせれば、「過去を払拭する」という意味を持つ熟語も完成するのだという。
近年花園から遠ざかってはいるが、そのことを「忘れる」のではなく「払拭したい」というポジティブな意味を込めた。
遡ること2年前。
1年次の全国高校ラグビー兵庫県予選・決勝。
のちに全国準優勝を果たす報徳学園を相手に、関西学院はなんと後半ロスタイムまでリードしていた。
だがラストワンプレーで、悔しい逆転負け。
その時ベンチ入りしていたという成田キャプテンは、色褪せぬ感情を吐露する。
「目の前で見てだいぶ、ショックでした。悔しかった」
そして、ある覚悟を決めた。
「僕がやるしかない」
誰よりも体を張ってラグビーすることで、仲間を引っ張りたい。その「強固な軸が、この時に出来上がった」のだという。
迎えたラストイヤー。今年こそは。
「とにかく勝ちにこだわって、ひたむきにラグビーをし続けていきます」
菅平では全勝が目標。その初戦となる國學院栃木との一戦に勝利し、勢いを掴んだ。「昨年も数トライ差で負けました。僕たちの記憶にある限り、初めての勝利です」