お盆の時期には全国から高校ラグビー部が集う長野県・菅平高原。
8月12日には、カテゴリーを越えた合同練習が行われた。
出稽古に赴いたのは、大阪桐蔭高校と中部大春日丘高校。
迎えたのは、昨季の大学選手権覇者・帝京大学。
大学1校、高校2校の3校がともに汗を流した。
大阪桐蔭・名取凛之輔キャプテンが「たくさんのことを学び、チャレンジしたい」と抱負を語りスタートした合同練習。
ウォーミングアップの後、4つのコースが設けられたハンドリング練習では3校が入り混じって体を動かす。
ゲームと同じスピードであること、コネクションを保つことなどを意識した基礎練習が続いた。
その後は、セットピースからのアタック・ディフェンス練習へと移行。
グラウンドをハーフコートに分け、大学生2チーム・高校生1チームで体をぶつけ合う。
大学生対高校生のアタック・ディフェンス練習では安全面を考慮し、制限された強度でのコンタクトとなったが、それでも激しい練習が繰り広げられる。
最初は大学生のスピードとインテンシティの高さに思うようなアタックができなかった高校生チームだが、徐々に目が慣れると終盤にはトライを奪った大阪桐蔭。
スクラムから逆サイドに振り、戻した所でSO上田倭楓選手が大きく外への飛ばしパスを放って仕留めた。
また、練習の最後には、3か所に分かれたユニット練習が行われる。
スクラムチームとモールチーム、バックスチームとそれぞれの大学生たちが中心となってスキルを伝授した。
終了の合図がかかっても「あと2分お願いします!」と自ら志願したのはモールチーム。
帝京大学・青木恵斗キャプテンと本橋拓馬選手が、惜しむことなくモールの組み方を高校生たちに指導した。
「セットプレーは大事になってくる。僕も本橋も1年生から試合に出ているので、経験や知識を高校生に落とし込んでラグビーのレベル自体を上げていきたい」と、青木キャプテンはその理由を語った。
合同練習終了後、参加した高校生たちは「集中力の高さに驚いた」「言語化できる大学生たちの姿に学びを得た」と口々に感想を口にする。
中部大春日丘の川島大虎キャプテンは「スクラムのセットアップについて詳しく教えて頂きました。FW全員がとても学びになりました」と目を輝かせた。
帝京大学・相馬朋和監督は言う。
「大学生がコーチングすることは大きな学びになります。本橋・青木が中心となってアウトプットしてくれました。その姿を後輩たちが見て『こうやってコーチングするんだ』と学んでくれたと思います。また我々も怪我をしないし、怪我をさせない。相手にとって一番学びになる強度でラグビーをする。難しいですが、それをやれることが成長になるのではないか」と目を細めた。
また帝京大学・青木キャプテンも「ふだんは混ざることのない高校生との合同練習。僕たちはコンタクトの違いやスピード感のあるラグビーを教えようかな、と思ったのですが、僕たちにもミスが出てしまって。上手く教えられたかは分かりませんが、良い練習はできました。僕たちも高校生からチャレンジ精神を学び直せて、良い機会でした」と充実した表情をのぞかせた。
帝京大学・相馬監督自らスクラムの組み方を指導。練習後は高校生たちに声を掛け、それぞれの学びを聞いてまわった。具体性の乏しかった選手には「それじゃ後で思い出せない。具体例を3つ挙げて」と要望する
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