お盆の時期には全国から高校ラグビー部が集う長野県・菅平高原。
8月13日(火)には、東福岡高校(福岡県)が大阪桐蔭高校(大阪府)と対戦し0-43。
今季15人制では練習試合含め負けなしの大阪桐蔭が、連勝記録を伸ばした。
『東福岡が桐蔭学園に36点差をつけ勝利』という一報は、瞬く間に菅平中を駆け巡った。
今季のチャンピオンチームであり、その翌日東福岡と対戦することになっていた大阪桐蔭の耳にも、もちろん届く。
その報を受け「チーム内で言葉を交わした言葉がある」と、大阪桐蔭のスクラムハーフ・川端隆馬選手は言った。
『(東福岡は)桐蔭学園に勝ったチーム。油断したらあかん。絶対俺ら、プライドをもって勝ちに行こう』
全国選抜大会、サニックスワールドユースと今季15人制での全国大会タイトルを総なめしているチャンピオンチームとしての、プライドを出そう。
前半は膠着状態だった。
前半15分まで互いにノースコア。序盤は、東福岡の攻撃時間が続いた。
だが大阪桐蔭がディフェンスで存在感を見せると、初めての敵陣でのアタックは前半10分過ぎ。
ラインアウトからモールを組み、フェーズアタックへ移行すると順目に展開。
東福岡はたまらずに2度のペナルティを取られれば、3度目のラインアウトモールで取り切った。
前半15分、大阪桐蔭が7点を先制する。
徐々に勢いを掴んだ大阪桐蔭は、前半21分にペナルティゴールで3点を追加。
前半27分にはFWのビッグゲインから、最後は12番・名取凛之輔キャプテンが仕留めた。
0-17、大阪桐蔭のリードで折り返した。
一方の東福岡は、攻撃の最終形を描けぬままハーフタイムを迎えた。
後半まずは最初のトライが欲しい所だったが、しかしミスとペナルティで理想どおりにボールは繋がらない。
東福岡のノックオンからマイボールスクラムを獲得したのは大阪桐蔭。
そのスクラムでペナルティを得ると、敵陣深くでのラインアウトからモールで押し切り、再びのトライ。
リードを広げた。
後半14分にはラインアウトから展開して4トライ目。
後半26分には、ゴール前でSO上田倭楓選手が斜めに切り込み、ラストパスを放れば5トライ目。
ダメ押しは後半33分。ドミネートタックルからマイボールラインアウトをゲットすると、FWが押し込み6トライ目。
6トライ5コンバージョンゴール、1ペナルティゴールを奪った大阪桐蔭が、最終スコア0-43で東福岡に完勝した。
大阪桐蔭のスタンドオフ・上田倭楓選手は「しっかりとエリアを取って敵陣でプレーすること」をマネジメント。
後半になるにつれ「自分たちの我慢が(成果として)出たかな」と喜んだ。
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今菅平では、ブレイクダウンとディフェンスに注力している大阪桐蔭。
「東福岡を相手にゼロ点で抑えられたこと、前半の入りでしっかりと粘れたことは良かった」とハーフ団の2人は振り返る。
「今日が一番良い試合でした」と話したのは、SH川端選手。
今季15人制では無敗ではあるものの、試行錯誤の毎日を過ごしているという。
「全部が全部、良い試合じゃない。悪かった内容を修正して、修正できたと思ったらまた違う所でミスして。またミーティングで修正内容を話して、プレーで修正して、また別の課題が出て(川端選手)」
その繰り返しの毎日だ。
そしてそんな日々に「僕は悔しいです」と川端選手は唇を噛む。
「ミスすることが悔しい。今日はペナルティが多かったので悔しいし、自分にもチームにも怒ります」
完璧なゲームはまだ、できていない。
全ては、1月7日に100点満点のゲームをするために。
チャンピオンチームの、試行錯誤の日々は続いていく。