1回戦で見せたスーパープレー。東京都が体現した『戦』と、オール神奈川のプライド|国民スポーツ大会関東ブロック大会<少年男子>

10月に佐賀県で行われる特別国民スポーツ大会への出場権をかけ、ラグビーフットボール競技の関東ブロック大会が始まった。

8月23日(金)には少年男子の1回戦が山梨県で行われ、4チームが勝ち上がった。

なお決勝戦は神奈川県×茨城県の第1試合が25日(日)9時30分から、栃木県×東京都の第2試合が10時45分にキックオフを迎え、勝った2チームが関東ブロック代表に決定する。

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神奈川県 47-10 埼玉県

神奈川県:水色ジャージー、埼玉県:白ジャージー

ファーストトライは前半6分。

神奈川県がラインアウトからモールを組むと、すぐに抜け出し6番・小池颯太選手のオフロードパスを受け取った8番・藤久保陸選手が中央に走り込みながらトライ。

9番・後藤快斗選手のコンバージョンゴールも成功し、7点を先制した。

対する埼玉県は、その3分後、敵陣でのペナルティでペナルティゴールを選択。

11番・山口成選手が右足を振り抜けば、3点を返した。

その後は神奈川県が個の強さを発揮した。

前半16分には5番・西野誠一朗選手がラックの真上を越えてゲインすれば、サポートに走り込んだ1番・谷本幹太選手に繋いでトライ。

続く攻撃でも接点で前に出続け、前半20分、15番・五島悠翔選手が中央にトライ。

前半を21-3と神奈川県の19点リードで折り返した。

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後半最初にスコアを動かしたのは、しかし埼玉県だった。

敵陣深くでのラインアウトからFWでファイトすると、機をみてオープンサイドへボールを開く。

最後は12番・小林利仁選手が縦をついてトライ。

11番・山口選手のコンバージョンゴールも成功し、21-10と11点差に詰めた。

だがそこから4連続トライを決めたのは神奈川県。

敵陣5m、右端でのスクラムからショートサイドで勝負したバックスで仕留めた後半10分。

ボールを持って前に走り続けたランニングトライに、自陣ゴールラインでボールを奪い返し決めた圧巻の100mトライ。

圧倒的な個を武器に接点で個々人が前に出続け、プレイヤー同士がリンクしたラストトライ。

47-10と神奈川県が引き離し、決勝進出を決めた。

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オール神奈川

23名の選手登録中、8割を占める桐蔭学園と東海大相模。

慶應義塾、法政第二、日大藤沢、湘南工科からそれぞれ1人ずつが加わり、今年のオール神奈川は結成された。

主将を務めるは、桐蔭学園・申驥世選手。

フォワードとバックスでそれぞれの候補者を選出したのち、最後は「昨年のオール神奈川を経験している自分が」と立候補した。

日頃はたった一つの神奈川県王者を争うライバルたちが、仲間となって全国制覇を狙う。

だから今年は、どこかの学校のサインプレーを使用するのではなく、新たに簡単なサインを作ることにした。

「ラインアウトのサインが、もしどこかのチームのものだったら、そのタイミングが少しでも(オリジナル校の選手たちから)ズレてしまうと上手くいかない。でも新しくみんなでサインを作れば、全員で同じ共通認識を図れる」とHO矢澤翼選手(東海大相模)はその効果を話す。


スクラムでも複数回ターンオーバー。FWの強さを見せた

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一方で変わらないものもある。

スローガンは今年も『全国制覇』。

「そこはブレずに。体を張れて、コミュニケーションをとれる、諦めない選手たちを選びました」と話す浜倉裕也監督(湘南工科大学付属高校)のもと、日本一にこだわる。

オール神奈川としてのセレクション合宿だって、例年通りなかった。

8月20日に初めて全員が集まり、練習することたったの2日半。「それでもできてしまう(浜倉監督)」という選手たちの順応力を信じた。

キックオフミーティングで「縦のチームだ」と伝えた、その姿を50分間で体現した。

決勝戦の相手は、昨年ラストワンプレーまでリードを許していた茨城県。

「良い準備をして、しっかり体を当てて。勝ち上がることをテーマにします」と浜倉監督が話せば、申キャプテンも「今日は不用意なミスにFWのミスが重なった。今日が最初のゲームだったので、チームとしての判断基準も曖昧でした。繋ぐところと、繋がないところを話し合って改善したい」と力強く誓った。

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オール埼玉

ファーストスクラムで、押し込んだ。

観客席からもどよめきは起きた。

だが修正力の高い神奈川県を前に、その後はマイボールスクラムでもターンオーバーを許した。

大会直前、ゲームメーカーが怪我をした。

10番のジャージーを着用する予定だった大屋玲穏選手(深谷)が左膝を痛め、出場叶わず。

2パターンの攻撃スタイルを用意し、前半・後半で戦い方を変えようと模索していたが、そのうちの一つだけで50分間を戦わざるを得なくなってしまった。

それでも神奈川県を相手に奪った1トライ。

「練習してきた形でトライができた。ボールキープを最優先に、フェーズを重ねてトライまでもっていけた」小松広実監督(川口高校)とほほ笑んだ。

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オール埼玉としての活動がスタートしたのは、7月の第1週目。

50人を集めたセレクション合宿で、今年の戦術を落とし込んだ。

のち23人に絞り込むと、8月20日に再集合し結束力を高める。

だが、小松監督曰く「最初は全然喋らなかった」と苦笑い。

だからチームビルディングでドッジボール大会をし、円陣での掛け声を決めるよう仕向け「少しずつ、昨日ぐらいからまとまりはじめた」という今年のオール埼玉だった。

WTB山口成選手(熊谷)が決めたジャッカルも、FL澁澤歩夢選手(熊谷工業)の強くてしなやかな身のこなしも。

随所に光るプレーは見られた。

中学時代はともにラグビーをしていた仲間たちと、再び同じジャージーが着られたひと夏の経験を糧に。

勝負の秋へと、それぞれが向かっていく。

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