第104回全国高等学校ラグビーフットボール大会 埼玉県予選が幕を開けた。
9月8日(日)には県内3会場で1回戦が行われ、8チームが初陣を飾った。
Bシードも登場する2回戦は、9月23日(月・祝)に行われる。
※組み合わせはこちら
試合概要
第104回全国高等学校ラグビーフットボール大会埼玉県予選 1回戦
【日時】
2024年9月8日(日)
【場所】
進修館高校グラウンド
進修館高校 45 – 0 合同A
ファーストアタックでトライを取り切った進修館。
ラインアウトからFWが押し込み、7点を先制した。
その後も敵陣に入れば、FWのフェーズアタックでトライを取り切る。
奪ったトライは、計7つ。
45-0で進修館が勝利を収めた。
狙うは下剋上
完封勝ちを収めた進修館。
この日はとことん、フォワード戦にこだわった。
キックを蹴らず、バックスにも大きく振ることなく、FWが体を当てる。
「敵陣22mに入ったらフォワードのピックが決めごとだった」と話すは、チームキャプテンを務めるスタンドオフ・茂木将翔(もぎ まさと)選手。
フォワードが強いチームの強みを、スタンドオフとして巧みにコントロールした。
今年の進修館が掲げるスローガンは『下剋上』。
ベスト8に入り、熊谷ラグビー場Aグラウンドのピッチに立つためには、Aシードの熊谷工業高校を倒さなければならない。
そのためには下剋上がマスト条件だ、と設定した。
その熊谷工業戦が行われるのは3回戦。対戦する権利を勝ち取るためにも、次戦・熊谷農業高校戦でしっかりと勝利を収めるべく、残された2週間を大切に過ごしたい。
「まずは簡単なミスをなくしたいです。外側のミス、キックのミス。修正していきたいなと思います」
進修館高校ラグビー部の部員数は、現在20名。
うち3年生が13名、下級生が7名と、この花園予選で敗退が決まった瞬間に単独チームを組めない人数へ減少してしまう。
だからこそ、1日でも長く。1試合でも多く。
「僕たち3年生も、初期メンバーは6名でした。でも部活を辞めたクラスメイトを誘って、頑張って勧誘して、今の人数になったんです」
誘い合った仲間たちと下剋上のラグビーを。そして、1人でも多くの進修館高校生に「俺もラグビーしてみたい」と思わせるラグビーを。
チャレンジは続く。
合同チームで過ごした3年間
不動岡、花咲徳栄、草加西、越谷南、浦和工業の計5校で結成された合同Aのキャプテンを務めたのは、不動岡高校3年の大手壱成(おおて いっせい)選手。
試合後、大粒の涙を零した。
「目標だった熊谷ラグビー場のグラウンド(ベスト16)にはたどり着かなかったですが、チーム全員で出し切れました。だけど、悔しいです」
高校入学後、一度は文化部に入部した大手キャプテン。
だが「やっぱり運動がしたい」とラグビー部の門を叩いたのは高校1年、秋のことだった。
「人数は少なかったのですが、ずっと楽しくて。ラグビーを続けることができました」
3年間を合同チームで過ごした。
単独チームを組めたことは、一度もなかった。
でも、いや、だからこそ。合同チームだからこそ得た経験が、数多くあったと話す。
週末に行った合同練習会で、徐々にチームとしての完成度を上げることができた経験も。
多くの顧問の先生たちと、関わりが持てたことも。
「先生方が本当に良い方々でした。チームで一丸となって戦う所も、好きでした」
単独チームでは味わえなかったであろう感情を、たくさん知った。
「ラグビー、楽しい」と言いながら、頬を伝った大粒の涙。
「社会に出ても、この経験を活かしていきたい」と、前を向いた。