立教新座
試合を終えると、駆けつけた多くの応援団のもとにお礼の挨拶へと出向いた立教新座の面々。
するとその足で、対戦校・正智深谷のベンチ前へと向かった。
全員で整列し、キャプテンが御礼の言葉を発すると、揃って頭を下げる。
この日、同会場で試合を行った全8チームのうち、対戦校ベンチ前でお礼の挨拶をしたのは立教新座だけだった。
「ラグビーは相手チームさんがいて、自分たちも15人が揃ってやっとできる競技。感謝を込めてラグビーをしなきゃいけないと思っています。今日は試合をさせて頂いて、良い経験もさせてもらえた。その感謝の気持ちです」
大江亮玄キャプテンは、意図を説明した。
2年前、慶應志木に勝利しベスト8入りを果たした立教新座。
当時高校1年生だったのが、今年の3年生たち。ベンチ入りしていた大江キャプテンは「格好良い先輩たちが戦っている姿を見て、ぼくたちも頑張ろうという思いが芽生えた」と振り返る。
今年の武器は、前に出るディフェンス。
相手プレイヤーを前で止め「良い時間をたくさん作ろう」と試合に挑んだが、正智深谷のフィジカルに圧倒された。
後手に回った60分間。悔しい2回戦敗退だった。
大江キャプテンは中学時代、地歴部に所属。パソコンと向き合う日々を送った。
楕円球にたどり着いたのは、高校生になってから。友人の誘いがきっかけだった。
「初めてスポーツを、こんなにガチでやりました。一番、僕の青春を感じました。色濃く3年間を終えられた。僕の高校生活の誇りです」
主将を務めた者として、後輩たちに伝えたい想いがある。
「これから厳しいことはいっぱいあると思う。立教新座のラグビー部として、プライドを持って取り組んでいってほしいです」
目を真っ赤に腫らしながら、青春の1ページを閉じた。
正智深谷
現在の部員数は18名。
うち1名は海外留学へ行っており、今大会を戦う選手は17名。
ほとんどの選手が、60分間フル出場することが求められている。
「人数が少ない分、1年生が試合経験を積めています。3年生は最後の大会。互いの経験値を活かして勝ち進みたいです」と話すは、12番・田中健慎キャプテンだ。
試合中は、ポジティブな言葉が飛び交う。
その中心にいるのが、田中キャプテン。
修正点は分かり易くシンプルに、短い言葉で。必ず最後に、誉め言葉を添える。
「僕たちは結構、(気持ちが)落ちやすい。ポジティブな声を掛け合うことを、常に意識しています」
3回戦の相手は、本庄第一。シード順位は正智深谷の方が上だが「今年の地区大会でも負けている。1回も勝てたことのない相手」だという。
だからこそ「チャレンジゲーム。勝って、ベスト8に入って、(準々決勝で当たる予定の第1シード・)昌平まで勝ち進みたいなと思っています」
挑戦心で、勝利を目指す。