神奈川県
ペナルティがかさんだ。
ラインアウトへのプレッシャーも、大きく受けた。
「これまでの国体で神奈川県が負けた時も、同じような状況でした」
ラインアウトが安定せず、セットプレーで後手を踏んだ60分間を浜倉裕也監督は振り返った。
早めの選手交替はプラン通りだった。
後半開始と同時に、高校日本代表候補の11番・恩田暖選手選手(東海大相模)を下げ、同じく高校日本代表候補の小林祐貴選手(慶應義塾)を投入。
「後ろからどんどん走ろう」との戦術交替だった。
一方でFWの選手交替は、ラインアウトやスクラムでの安定を求め、後半10分までに1列を総交替。
流れを変えようと一手を投じたが、しかし厳しい時間を過ごした。
苦しい時間を過ごした要因の一つでもあっただろうか。
関東ブロック大会時にキャプテンを務めていた申驥世選手(桐蔭学園)が、本大会ではコンディション整わず不出場。
ブロック大会と本大会でキャプテンが交替することになり、改めて選手たちで話し合って主将を決めた。
キャプテンマークを託されたのは、2番・矢澤翼選手(東海大相模)。
「西野誠一朗(桐蔭学園、LO)も『やりたい』って言ってくれたんですけど、自分も思いが強かったので。『やらせてくれ』と言って、任せてもらいました。なのに上手くまとめきれず、申し訳ないです」
桐蔭学園の選手たち経由で「勝ってきてくれ」との伝言を耳にした。
「スクラムもラインアウトも全部圧倒されて、自分たちが用意してきたことがシンプルにできなかった。自分たちの手にボールが収まらず、歯車が狂ってしまいました」
自分たちで自分たちを狂わせてしまったこと。
ラインアウトの核得率を上げる修正点を、試合中に掴みきれなかったこと。
「コンバインドチームの弱さが出てしまったと思います」
悔しさを何度もかみしめた、矢澤キャプテン。
後半10分にベンチに下がった後も「自分にできることは、声を出すことしかない」と、仲間に大きな声を掛け続けた。
残されるは、ラスト1戦。宮城県との5位・7位決定戦だ。
「やるしかない。圧倒して勝ちたい。自分たちのことにフォーカスする時間を作りたいと思います」
神奈川県としてのプライドを見せる最終戦へと向かう。