神奈川県、4強出揃う。「ミスに厳しくなった。ピリピリしている」|第104回全国高等学校ラグビーフットボール大会神奈川県予選会

慶應義塾 55-17 日大藤沢

慶應義塾

夏を経て、いくつかポジションに変化が起こった慶應義塾。

「良いランナー」である小林祐貴選手の特性を鑑み、より生かしやすい10番から12番へとポジションを移した。

関東大会予選で負傷したSH尾関航輔キャプテンは、9月に復帰。

勝てない時期が続いていたチームに対し「自分たちを信じること、慶應らしくディフェンスから流れを作ること」と声を掛け続けていたという。

また「ラグビーに非常に前向き」という2人の1年生が、先発の座を掴み獲る。

フッカーにナンバーエイト。肝のポジションでルーキーを起用した。

2番・高橋伸之右選手は、なんと中学時代までスタンドオフ。高校入学後にフッカーへと転向し、FW1列歴わずか半年ながら黒黄のジャージーをまとった。

「最初は(フッカーが)結構嫌でした」という高橋選手。

だが半年が経ち「なんで今までフッカーやらなかったんだろうと思う」のだと笑った。

コンタクト力を生かせることが楽しい。

スクラムもめちゃくちゃ楽しい。

「本当に、めちゃくちゃフッカー楽しいです」

目指す選手像は、スタンドオフとしての経験を織り交ぜたプレーをするFWになること。

「ハンドリング力を生かしてバックスにボールを繋げたいし、走力を生かしてバックスが抜けたところのサポートプレーにもつきたい。いろんなところに顔を出せるFWになりたい」と描く。

一番近くのお手本は、3年生の玉塚雄大選手。

「スローイングも勝てないし、ヒットも強くてタックルもめっちゃ強い。尊敬しています」と、日頃の練習相手に憧れを抱いた。


和田康二監督からは「江良颯になれ」と伝えられている。「江良選手も高校からフッカーになったそうです。同じ境遇として、ここから大きな選手になれるよう頑張ります」

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慶應義塾準決勝の相手は、東海大相模。

「この1年で、一番良い1週間を過ごそう」を合言葉に、チームはチャレンジへと向かう。

「去年も準決勝で東海大相模と対戦して、5点差で敗れました。借りを返すぞ、という気持ちでこの1年間やってきました。準決勝に全精力をかけて、チャレンジしたいと思います」(和田監督)

今こそ『魂のラグビー』と評される慶應義塾のラグビーを見せる時。

さすれば、結果もついてくるはずだ。

日大藤沢

3年連続、秋は慶應義塾が壁となった。

この2年で点差は縮まった。今年こそは勝利を、と挑むが、しかし届かなかった。

試合を終えたSH北川太陽選手に声を掛けたのは、この日応援にかけつけた昨年のバイスキャプテン・神崎朝飛選手(現・日本大学1年)だった。

「悔しいだろ」

それまで堪えていた涙が、溢れ出る。

押し寄せた悔しさを、噛み締めた。

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小学4年生で始めたラグビー。

両親から「花園に出られていないようなチームを、自分が引っ張って強くしてみる経験も大事なのでは」とアドバイスを受け、日大藤沢へと進んだ。

「同級生は少なかったのですが、みんな自分の言うことについてきてくれました。みんながチームのために働いてくれた。良い3年間を過ごせました」

そう、北川キャプテンにとって、日大藤沢とは『青春』。

「みんなで最後まで声を出して、一生懸命ラグビーができたことに悔いはないです」

3年間、慶應義塾に勝つことはできなかった。

でも今年が一番、得点をすることができた。

大きな成長を、数字で示した。

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