今年、創部50周年を迎えた福岡県立筑紫高等学校ラグビー部。
今年のスローガンを『HUNGRY』、サブタイトルに『本能に従え、魂で抗え』を据えた。
春に行われた、全九州大会の福岡県予選準決勝。
東福岡に12点差と迫った一戦は、大きな反響を呼んだ。
なんと前半を折り返すまでは3点リード。後半に逆転を許したが、いま、王者の背中をはっきりと捉えた。
そこで今年は、いつもとは違うアプローチで夏を迎えた筑紫。
例年は『経験』として位置付けていた全国7人制大会の福岡県予選に向け、全力で準備し、全力で戦った。
「勝ちに行くぞ、と数週間前からセブンズの練習をたくさんして、対外試合も組みました。そういう経験は、初めてでした」
今季の主将を務める、納冨暉生キャプテンは言った。
結果的にわずか5点差で敗れたが『東福岡に勝つ』が筑紫の面々に根付いた夏となった。
『HUNGRY』のスローガンに続くサブタイトル『本能に従え、魂で抗え』は、まさしく筑紫らしさを表す一文だ。
「ラグビーは気持ち。僕たちは、一度気持ちが乗ったら誰にも止めることができません。だから気持ちの部分で、本能に従うことを大切にしたいと思いました」(納冨キャプテン)
筑紫魂、と称される筑紫のラグビー。
どんな強敵にも『魂で抗う』ことを胸の真ん中に置く。
納冨キャプテンは言う。
「歴代のキャプテンには、責任感の強い『ザ・キャプテン』が並んでいる」と。
それが当初は、プレッシャーになることも少なからずあった。
「たくさん失敗しました。でも、失敗を受け入れて、成長することを意識して、この1年を過ごしています。自分が成長したら、チームも成長する。だから自分が一番ひたむきにラグビーと向き合うことを心掛けています」
これまでの49人の主将にたがわぬ真っ直ぐな心で、真摯にキャプテンを務め上げる。
またバイスキャプテンを務める吉田篤史選手は、身長168㎝と小柄ながら、グラウンド上でははるかに大きく映る存在感が持ち味。
「主軸選手として、チームに良い影響を与えられる選手でありたいと常に思ってプレーしています」
これまでオール福岡などの選抜チームに選ばれたことはないが「気持ちで負けてはならぬ」を信条に、グラウンドに立つ。
「筑紫の伝統は魂。気持ちではどのチームにも負けてはいけない、と思っています。気持ちをタックルで前面に出したいです」
いよいよ迎える、福岡県大会決勝。
相手はもちろん、東福岡。
「ヒガシに勝つという気持ちを、チーム全員、1人ひとりが持っています」(納冨キャプテン)
創部50周年の記念すべき年に、いま、筑紫のラグビーで抗う。
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