目黒学院
試合終了を告げる笛が鳴ると、あちらこちらでガッツポーズが空に舞った。
「勝てて嬉しい。このチームでまだラグビーができることを嬉しく思います」と話すは、今季目黒学院の主将を務める石掛諒眞キャプテン。
決勝の相手は好ランナー揃う成城学園。
たった1人のプレイヤーに、流れもゲームも持っていかれる可能性を感じていたからこそ、ノーサイドの瞬間、選手たちは喜びを表した。
石掛キャプテン、そして竹内圭介監督は60分間を振り返って、声を揃える。
「練習でやってきたことが出せた試合」だと。
徹底してディフェンスで圧力をかけること。
最初の10分は、敵陣に入ってゲームを組み立てること。
夏の合宿を終えた9月ごろから「選手たちの中に動きとして根付くようになった」(竹内監督)というプレースタイルが、10月の中部大春日丘遠征を通じて仕上がった。
どの時間帯に、どこのエリアでどう戦うのか。
意識を徹底させて戦えば、中部大春日丘と光泉カトリックから連勝。手応えを掴んで迎えた、東京都予選決勝だった。
花園での目標を問われた竹内監督は「いつだって日本一を狙っている」と断ったうえで、断言する。
「春、到達した所までは最低でも行かなきゃいけないなと思っています」
春、とは全国選抜大会。
ベスト8に入ったその成績を超えるチャレンジへと向かう。
「今日の試合で見えた課題をしっかりと見直して、花園に挑みます」(石掛キャプテン)
「反則も多かった。精度高く、1ヵ月半準備していきたいです」(竹内監督)」
感謝の涙
岩崎ヴィージェー純選手。
チームではバイスキャプテンを務める、明るく責任感の強い男が、涙を流した。
「今年のチームは、上手くいかない時間の方が長くて。(全国選抜大会で)ヒガシ(東福岡)に勝った後、練習試合で負けが続いたんです。本当に、しんどい時間が長かったので。一つ、区切りとして花園を決められたことが本当に嬉しいです」
だからこそ、ファーストトライを自らの手で決められたことが嬉しい。
「決勝の舞台で、良い形で最初のトライをとれた」とよろこぶ。
バイスキャプテンとして、声でチームに問いかけ続けた1年間。
まとめるのが難しい時期も多くあったが、一つの目標に向かって目黒学院でラグビーをすることが楽しかった。
石掛キャプテンとは2人で、たくさんチームのことを話し合ったという。
ぶつかったことも、もちろん数えきれない。
それでも「2人で一緒にやってこれて、本当に良かったなと思います」
透き通った涙を零した。
「みんなで決めた、花園行き。昨年を超える戦いを、全員でやりたいと思います」
右手首には「感謝」の2文字をしたためた