試合概要
第104回全国高等学校ラグビーフットボール大会 1回戦
【対戦カード】
松山聖陵高等学校 19-29 佐賀県立佐賀工業高等学校
【日時】
2024年12月27日(金)14:50キックオフ
【場所】
花園第1グラウンド
試合結果
松山聖陵 19-29 佐賀工業
キックを有効に使い、トライを重ねた佐賀工業。
ラインアウトからはモールで押し込み、計5トライを挙げ勝利を収めた。
一方敗れた松山聖稜は、スターティングメンバーのうち10人が1・2年生。
ボールと人が動く芸術的なファーストトライも挙げたが、ミスが響き一歩及ばなかった。
松山聖稜
チームを率いて12年目。渡辺悠太監督は、ベンチではなく観客席から試合を眺めた。
「全体を見渡したかった。どこにスペースがあるか立体的に把握していました」
トライを取っても取られても、あまり表情を変えることなく静観した。
圧巻のファーストトライだった。
5点のビハインドで迎えた前半17分。
自陣22mラインでのラインアウトからキックパスを蹴り上げ、逆サイドへ。
11番・大場胡太朗選手がハーフウェーまでボールを運ぶと、一度はボールが零れたものの15番・田畑匠道選手がすぐさますくい上げ、前進。
オフロードパスで2番・熊野翔夢選手へと繋ぐと、バックドアから素早く外に一つずつ開く。左サイドで12番・宮崎開久選手、8番・宮本空選手、15番・田畑選手が持ってゴール前へ。
ショートサイドへのラストパスを放れば、サポートに回り込んだ10番・芳野修キャプテンがインゴールに飛び込んだ。
例年の松山聖陵よりも明らかにフィジカルアップした選手たちが、次々と湧き出て繋ぎ、取り切る。
ボールの繋ぎを意識しているであろうこと。寄りの意識を高めているであろうこと。
一目瞭然だった。
渡辺監督は言う。
「昨年は2回戦で桐蔭学園さんと対戦し完敗しました。『桐蔭学園さんに対してこれができていれば』という、たらればの話ができないぐらい強かった」と、大きな衝撃を受ける。
だから今年のチームは、1月7日、愛媛から花園へと足を運び、桐蔭学園 対 東福岡の決勝戦をスタンドから観戦した。
頂を知ったところから、このチームは始動した。
そうして鍛え上げた2024年。桐蔭学園がみせるようなトライを決めきるまでになったが、しかしそれでも、勝利には届かない。
全国の壁を改めて知った。
「僕はまだ、根本である身体能力のアップが足りていないと思っています。昨年それを経験して、今年1年チャレンジしてきて、また来年・再来年とそれを続けていくことで追いつくのかな、と。僕らが前に進むチャンスをもらっている。これが伝統になっていく」
1988年生まれの渡辺監督。
88年生まれの学年には、現在日本全国各地の高校ラグビー部で指導にあたる監督・コーチが多い。
石見智翠館の出村知也監督や、城東の伊達圭太監督。常翔学園の白木繁之監督らとともに、次世代の日本ラグビー界を担う選手たちを育てている。
試合が終わればすぐさま、88年組からの連絡も届いた。
「松山聖陵の分までがんばります」
LINEでも、電話でも。切磋琢磨する仲間たちからの声は、やっぱり嬉しい。
渡辺監督は「負けたら一緒」と言ったが、今年松山聖陵がみせたラグビーの質も、質量も、感動も大きく変わった。
昨冬、1月7日に見た景色を原点に。そして、この日の悔しさをエネルギーに。
「2年生たちはもう切り替えてますよ。『っしゃー!』って言ってます。強いです」
大会は終わったが、新チームは愛媛へは帰ることなく奈良県・御所実業へと向かい、年末年始の武者修行に臨む。
芳野修キャプテン コメント
ーー今日の試合を振り返って
ちょっとしたチャンスを逃したことが敗因だと思います。
ーー後輩へ託す言葉は
チームの半分が2年生が占めているので、この悔しさをバネに、来年再来年もこの舞台に来て、目標であるベスト8を達成して欲しいなと思います。
ーー監督はどのような存在か?
監督としては珍しいが、練習も入ってくれて、同じグラウンドレベルでできるので吸収できることもありますし嬉しいです。
ーー松山聖陵として年々強くなっている
たくさん強豪校と練習をしてきて、そこで経験を積んで大きな舞台でも緊張なくできていると感じます。
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