高校デビュー
近年の高校ラグビー界では、小学生の頃からラグビーに打ち込み、中学時代から名を馳せる選手も数多い。
一方で、高校生になってからラグビーを始めても活躍することができるのが、ラグビーの良い所だろう。
東海大相模のLO加賀谷太惟選手。
元はバスケットボール選手。高校でもバスケットボール部に入る予定だったが、仲良い友人の誘いでラグビー部へと入部した。
みるみるうちに頭角を現すと、高校日本代表候補に。そしてU19日本代表へとのぼりつめる。
「吸収できることしかない。だから楽しい」と笑顔を見せた1年間だった。
昌平のLO香曽我部拓海選手もまた、中学まではサッカー少年。
だが、『プラチナジュニア』という非凡な能力を有する埼玉県内中学生年代のアスリートを新たに発掘・認定するプロジェクトで同校部長に見出され、高校からラグビーの道へと進んだ。
言葉数少なく、元来声を出せるような性格ではないというが、シーズンが深まるにつれ「声を出さなければ」と意識できるようになるとプレーにも安定感は増す。
花園の舞台でも、なんども力強いプレーでボールを前に運んだ。
そして部員のほとんどが高校からラグビーを始めた埼玉県立川越高校は、全国高校ラグビー大会埼玉県予選3回戦で、25度の全国大会出場経験を有する埼玉県立深谷高校に競り勝った。
準々決勝に進出した者のみに許される、熊谷ラグビー場Aグラウンドでの試合。
OBは土曜授業のある現役生のためにバスをチャーターし、現役生が授業後にも応援に駆け付けられるよう学校をあげて応援体制を作った。
準々決勝では川越東を相手に敗れはしたが、雨に打たれながらもひたすらにトライを目指すその勇姿は、見る者の心を打つ。
高校からラグビーを始めた初心者集団だって、ラグビー経験が倍以上のチームに勝つことはできる。
そう教えてくれたのが、川越高校。
それがラグビー。それが高校ラグビーなのだ。