高校ラグビー2024 エトセトラ ~忘れたくない光景たち

あの時、写真を撮ってもらっておいて良かったです

有難いことに近年では、誰かの、何かの記念となるような場面でシャッターを切ることが増えた。

今年も数多くのそういう場面に出くわした。

そして、その最たるシーンは12月30日。

全ての試合が終わった後、石見智翠館の監督とキャプテンのツーショット写真を収める機会を得た。

島根県代表の石見智翠館高校。今年の石見智翠館は強かった。

全国選抜大会準優勝から始まった1年。

2021年に始まった東福岡との『ベアーズカップ』は、勝者がクマのぬいぐるみを持ち帰ることが習わしだが、今年初めてクマは関門海峡を越え、島根県へと渡った。

アタックで魅せる選手もいれば、ディフェンスで体を張る選手もいる。

真面目な選手もいれば、お調子者だっている。

とにかく魅力的な代だった。

だがシーズン最終盤に入り、相次いだ負傷者。

12月上旬にはバイスキャプテンの原田崇良選手が。

しまいにはキャプテン・祝原久温選手が、花園3回戦・関商工戦で膝の靱帯を断裂した。

話を戻そう。

Aシード・石見智翠館にとっての初戦は、2回戦の12月30日。

1月1日に行われた3回戦で祝原キャプテンは負傷したため、以降、試合後に余裕はなかった。

だから、12月30日。

指揮官・出村知也監督と祝原キャプテンのツーショットは、同校史上初のAシードとして初戦を戦い終えたこの時にしか、撮れるものではなかったのだ。

後に出村監督は言った。

「あの時、写真を撮ってもらっておいて良かったです」

真っ暗な写真。

周囲が暗いと写真の画質は粗くなり、ノイズと呼ばれるざらつきが写真には表れるが、しかしそれはAシードとして2回戦の最終戦を第1グラウンドで戦った証拠でもある。

Aシードとして1年間を歩んだ、確かな証となった。

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