あの時、写真を撮ってもらっておいて良かったです
有難いことに近年では、誰かの、何かの記念となるような場面でシャッターを切ることが増えた。
今年も数多くのそういう場面に出くわした。
そして、その最たるシーンは12月30日。
全ての試合が終わった後、石見智翠館の監督とキャプテンのツーショット写真を収める機会を得た。
島根県代表の石見智翠館高校。今年の石見智翠館は強かった。
全国選抜大会準優勝から始まった1年。
2021年に始まった東福岡との『ベアーズカップ』は、勝者がクマのぬいぐるみを持ち帰ることが習わしだが、今年初めてクマは関門海峡を越え、島根県へと渡った。
アタックで魅せる選手もいれば、ディフェンスで体を張る選手もいる。
真面目な選手もいれば、お調子者だっている。
とにかく魅力的な代だった。
だがシーズン最終盤に入り、相次いだ負傷者。
12月上旬にはバイスキャプテンの原田崇良選手が。
しまいにはキャプテン・祝原久温選手が、花園3回戦・関商工戦で膝の靱帯を断裂した。
話を戻そう。
Aシード・石見智翠館にとっての初戦は、2回戦の12月30日。
1月1日に行われた3回戦で祝原キャプテンは負傷したため、以降、試合後に余裕はなかった。
だから、12月30日。
指揮官・出村知也監督と祝原キャプテンのツーショットは、同校史上初のAシードとして初戦を戦い終えたこの時にしか、撮れるものではなかったのだ。
後に出村監督は言った。
「あの時、写真を撮ってもらっておいて良かったです」
真っ暗な写真。
周囲が暗いと写真の画質は粗くなり、ノイズと呼ばれるざらつきが写真には表れるが、しかしそれはAシードとして2回戦の最終戦を第1グラウンドで戦った証拠でもある。
Aシードとして1年間を歩んだ、確かな証となった。