歌でつなぐ、黒の誇り。大分舞鶴、継承の一歩。

「久しぶりの全国の舞台。全国に大分舞鶴の名を響かせたい」との願いを込めた歌がある。

部歌・ラグビー賛歌。

試合前、一つの輪になった選手たちは両隣の背に手を回し、大きな歌声を響かせた。

冬の全国高等学校ラグビーフットボール大会では、1974年度の第54回大会で優勝。準優勝3度を誇るのが、九州の伝統校・大分舞鶴だ。

その誇りは、歌声とともに長年受け継がれてきた。

しかし10年ほど前を境に、声を揃えて部歌を歌うことがなくなったと話すのは、今季のキャプテンを務める前田大志選手。

文化は、次第に途絶えた。

時は経ち、2025年春。

6大会ぶりとなる第26回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会への出場が決定したことをきっかけに『ラグビー賛歌』を復活させることが決まった。

「部歌があるのも伝統校ならでは。自分たちがその復活のタイミングにいられたことを、誇らしく思います。伝統の黒ジャージーの価値も改めて知ることができました」と、前田キャプテンは感慨深く口にする。

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大分舞鶴は、全国選抜大会でのテーマを『継承』とした。

ラグビー賛歌を『継承』し、黒ジャージーを『継承』し、なによりも全国大会に出場する誇りを『継承』すること。

「先発のジャージーを渡された15人には、自覚が芽生えました。全国の舞台に立ち、これだけ多くの人のサポートや応援があることも知ることができました。だから僕たちは、『全国大会に出場する』ということをこれからも受け継いでいきたいです」

前田キャプテンにとって、大分舞鶴は“原点”でもある。

ラグビーを始めたのは小学3年生の頃。最初に加わったチームが、大分舞鶴の小学生チームだった。

中学では「ぶんごヤングラガーズ」に所属し、その練習場所もまた舞鶴高校のグラウンド。

「舞鶴の高校生たちが躍動する姿を、間近で見てきました」

当たり前のように、“黒”のジャージーをまとう先輩たちに憧れを抱いた。

そんな大分舞鶴は、現在行われている第78回全九州高校大会(2位ブロック)で好ゲームを続けている。

1回戦では日向高校に81-7で圧勝。準決勝では、長崎北高校を31-19で下した。

迎える決勝戦の相手は、福岡県の強豪・筑紫高校。6月24日(火)10:30にキックオフを迎える。

次に響かせるのは、試合前の歌声。そして試合後の歓声となるか――。

伝統の黒き誇りを受け継ぐ戦いへと挑む。

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