7月5日(土)にミクニワールドスタジアム北九州で行われた、リポビタンDチャレンジカップ2025 日本代表vsウェールズ代表。
2025年のテストマッチ初戦となった日本代表は、前半を7-19と12点のビハインドで折り返したものの、後半に2トライを奪い逆転。
24-19で、みごと白星を飾った。
司令塔として10番を背負い、勝利を呼び込んだのは李承信選手だった。
「久しぶりの10番で緊張もあった」と明かしながらも、プレーを重ねるうちに徐々に落ち着きを取り戻したという。「昨年よりもプランがシンプルで、プレーしやすかった」と振り返る。
この日、李選手は3つのコンバージョンゴール、さらに1つのペナルティゴールを成功させて9得点。まさに勝利の立役者となった。
そんな李選手にとって、この日のウェールズ戦には特別な意味があった。
さかのぼること6年前。
2018年度の高校日本代表としてウェールズに遠征した時のこと。
U19ウェールズ代表との3連戦に臨んだ高校日本代表で、主将を務めたのが李選手だった。
だが3戦全敗。最終戦では29-31と惜敗を喫し、悔しさを胸に刻んだ。
「今日の23番(ジョー・ロバーツ)が、あのときのU19ウェールズ代表のキャプテンでした」
この日出場した石田吉平選手、中楠一期選手らもその時の高校日本代表仲間
そんな苦き思い出の残るウェールズ代表に対し、今度は日本代表として立ち向かい、ホームゲームで勝利を収めるまでになった。
高校時代、敗戦の悔しさを味わった相手。
日本ラグビーの発展、そして何より将来の自分のためにとさらなるハードワークを誓った相手。
だからこそ「感慨深い試合」だったと語った。
「タフなテストマッチで、自信をもってプレーできたこと。試合に勝てたことが(6年前からの)成長だと思います。日本で、ホームで、ウェールズに勝てて良かったです」
試合後、リーチ マイケル主将のガッツポーズを見て「泣きそうになった」と表情を緩めた李選手。
しかし、すでにその視線は次戦へと向かっている。
「自分が初めて代表戦を見たのが、ユニバー(兵庫県・神戸ユニバー記念陸上競技場)でのクラシック・オールブラックス戦でした。だから神戸で、代表としてプレーすることが僕の小さい頃の夢でした」
7月12日(土)、舞台をノエビアスタジアム神戸へと移し、ウェールズ代表との2戦目に臨む日本代表。
「神戸で勝ちたいという思いが強くなりました。もう一度しっかり準備します。楽しみです」
6年越しに宿命の相手から勝利をもぎ取った若き司令塔。
少年時代に夢見た神戸の地で、今季2勝目を掴む。