Eプール
1位:京都府・京都市立京都工学院(4大会連続6回目)
2位:沖縄県・沖縄県立名護(2大会ぶり7回目)
3位:山形県・山形県立山形南(初出場)
Fプール
1位:愛媛県・松山聖陵(5大会連続8回目)
2位:埼玉県・昌平(2大会連続4回目)
3位:石川県・日本航空高校石川(11大会連続11回目)
Fプールを勝ち上がったのは松山聖陵。
高校日本代表候補・阿塚心選手らの力強いボールキャリーで陣地を進め、決定機で取り切った。
「15人制だろうが7人制だろうが、全国ベスト8をずっと目標にしています。その中で今年は本当に良いメンバーが揃った。1年生も2人、先発で使っています。バランスのいい、面白いチームになりました」と自信をのぞかせたのは、松山聖陵の渡辺悠太監督。
戦略も当たった。
「初戦の日本航空石川戦では、試合データがないのでとりあえず留学生選手に人数をかけろ、と伝えていました。タックルに入るのではなく、ずっとくっつく。スライムのようにくっつけ、と言っていました」
スライム作戦が功を奏せば、36-7。波に乗った。
続く昌平戦でも「勝れるところはフィジカル」と焦点を定めれば、グラウンドに立つ各々が仕事を果たす。
開会式で選手宣誓を務めた田畑匠道セブンズチームキャプテンが2トライ3ゴールの活躍を見せれば、見事2年連続となるカップトーナメント進出を決めた。
一方、松山聖陵に敗れ2位通過となった昌平。先制トライを宮本和弥セブンズチームキャプテンが決め勢いに乗るかと思われたが、続くキックオフがダイレクトタッチになってしまいモメンタムを失った。
「そのあとのディフェンスでも、自分が裏に戻らず抜かれてしまいました」と話すは宮本選手。キャプテンらしく反省の弁を口にする。
「ディフェンスで全然貢献できなかった。キャプテンとしてちゃんと貢献しないとな、と思いました」
細かなミスも重なった。
マイボールスクラムからのボールアウトが想定よりも短くなり、深く構えていたスクラムハーフが獲得できず。その分、スクラムサイドに立ち位置を取っていた相手スクラムハーフに確保されてしまい、そのままトライまで持ち込まれてしまった。
アタックでも度々ゴール前まで攻め込んだが、ミスで終わってしまったシーンが複数回。
少しずつの噛み合わないことが、大きな結果として表れた大会1日目。
「今日は流れが掴めませんでした。明日は、2位トーナメント(プレートトーナメント)の優勝を目指したい。今日の反省を生かして、良い結果を残せるようミーティングします」
今年もU18オーストラリア7人制代表ヘッドコーチなどを歴任したExpo Mejia(エキスポ・メヒア)氏が指導にあたる昌平。
昌平のセブンズで、残る試合も戦う。
Gプール
1位:兵庫県・報徳学園(11大会連続11回目)
2位:東京都・早稲田実業学校高等部(5大会連続5回目)
3位:島根県・石見智翠館(11大会連続11回目)
3チームすべてが、前回大会のカップトーナメント進出チーム。
熾烈なGプールを制したのは、報徳学園だ。
第1回大会から続く、そして日本全国でたった1校となるカップトーナメント連続進出記録を11に伸ばした。
「だいぶプレッシャーでした。1年生の頃から出ていますが、それでもまだ緊張しました」とはにかみながら話すは、セブンズチームのキャプテンを務める大城健富選手。全国唯一となるカップトーナメント連続進出記録の更新が自らの手にかかっているプレッシャーは、やはり相当なものだった。
それでも石見智翠館を40-21で退けると、続く早稲田実業戦では前半に4連続トライを奪い勢いに乗った。
2試合目の最後は、まるでフランス代表を彷彿とさせるような美しいシャンパンラグビー。次から次にサポートプレイヤーが必要な所に顔を出し、気持ちの良いオフロードパスの連続で大会1日目を締めた。
「準備していたプレーではありません。みんなが臨機応変に、声を掛け合って」(大城キャプテン)右サイドで取り切ったファイナルトライは芸術だった。
大会1日目にして、はやくもトライオブザイヤーの最有力候補となるトライが生まれた。
大会2日目、カップトーナメント初戦の相手は、優勝経験有する東福岡に決まった。
「11大会連続で報徳ラグビーを披露してきていますが、今年はさらに上回って、もっと展開してステップを切って躍動していけたらなと思います」(大城キャプテン)
報徳学園らしく挑む。
Hプール
1位:福岡県・東福岡(11大会連続11回目)
2位:茨城県・茗溪学園(11大会連続11回目)
3位:富山県・富山第一(6大会連続6回目)
2年前の第10回大会でも予選同組だった東福岡と茗溪学園。その時には直接対決が同点で、プール戦での得失点数までもが同点だったため、トライ数で上回った茗溪学園が1位進出を果たしていた。
「今日は絶対に2年前の借りを返しちゃる!」と「準備に準備をして」挑んだのは東福岡。
「ディフェンスとブレイクダウンの勝負だと思っていました。そこを徹底してやってきました」と話すは、セブンズチームの監督を務める稗田新氏。
「素晴らしいマインドセットで子どもたちが戦ってくれました」と、ライバルを42-7で下した一戦を喜んだ。
マインドセット。
つまりは”試合に向けた気持ちの作り方”にも工夫を凝らした。
「2年前の茗溪学園戦、そしてその前の大川虎拓郎(現・明治大学3年)の代(第9回大会)の準々決勝、後半ロスタイムで茗溪学園に逆転勝ちした映像を見せたんです。その姿を見たら、気持ちが『おおっ』となったようです」
悔しい思いを受け継ぎ、良いイメージを共有する。そのプランが功を奏した。
「集中力が凄かった。茗溪学園戦では難しいコンバージョンゴールも全部入れてくれた」と稗田監督が感謝した、川添丈選手(2年生)
「東福岡は勝たないといけないチーム。昨年の選抜でも初戦敗退を味わって、昨年のセブンズでも予選プールで勝ち星なし。僕たちは悔しい思いをしている代です。絶対に東福岡は勝たなきゃいけない、という思いで挑みました」と話すは、セブンズチームでキャプテンを務める平尾龍太選手。
今年、3年生のメンバー入りはなんと3人。ケガ人が続出し、大半を下級生が占めるが「今年は優勝を狙える」との言葉を稗田監督から受け、自信に変えた。
「ヒガシであるからには、主力選手がいなくても勝たないといけない。逆に『やってやろう』という気持ちになりました。ケガしている人たちの分も背負って」戦えば、圧巻のセブンズを披露した。
「初戦・富山第一戦では受けてしまって、全然カウンターができませんでした。でも茗溪学園戦では、ラックにかければ何かが絶対に起きるとのプレビューをもらえた。ラックにかけたことによって今日の勝利があると思います。明日からもどんどんアグレッシブにアタックして、どんどんプレッシャーをかけて、ヒガシらしさを見せていきたいなと思います」
ボールポゼッションを明け渡しても、ファーストラックでボールを奪い返す圧巻のラグビーだった。
これで3年ぶりとなるカップトーナメント進出を果たした東福岡。
だが、大会2日目以降も立ちはだかるライバルたちは相変わらず強敵だ。
対戦待ち受ける数々のチーム名を口にし「楽しさしかない」と力強い言葉をのこしたのは稗田監督。
まずはカップトーナメント1回戦・報徳学園戦。平尾キャプテンは「楽しみつつ、ヒガシらしさをもってアタックして、最後は勝てるように頑張ります」と誓った。