ラスト5分で9点差を跳ね返した神奈川県、準決勝進出。敗れた栃木県は「まだまだ全然足元にも及ばない」|第79回 国民スポーツ大会関東ブロック大会<少年男子>

10月に滋賀県で行われる第79回国民スポーツ大会への出場権をかけ、ラグビーフットボール競技の関東ブロック大会が始まった。

8月21日(木)には少年男子の1回戦が群馬県で行われ、神奈川県が栃木県に24-21で勝利を収めた。

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神奈川県 24-21 栃木県

神奈川県:水色ジャージー、栃木県:緑ジャージー

試合は栃木県ボールのキックオフでスタート。

國學院栃木高校の単独チームで臨んだ栃木県は、開始早々に敵陣でペナルティを獲得するも、タッチキックがデッドボールラインを割り最初の好機を逸した。

直後に神奈川県が攻勢に転じ、連続でペナルティを得ると、ラインアウトモールを形成。最後は6番・堂園尚悟選手(桐蔭学園3年)が先制のトライ。

10番・竹山史人選手(桐蔭学園3年)のコンバージョンゴールも成功し、前半6分、7-0とスコアを動かした。

対する栃木県はなかなか敵陣に入れず苦戦。それでも前半14分、ハーフウェー付近・右サイドでマイボールスクラムを組むと、左のオープンサイドへ一気に展開。11番・池田健心選手が前に運び、右端へと振り戻す。

トライライン目前でパスを受けた12番・福田恒秀道キャプテンは、球を放ると見せかけ、自らキャリーを選択。一度ダウンボールにした後再び拾い上げ、ど真ん中を抜けた。

クレバーな、そしてスキルフルな福田キャプテンのトライ。

9番・石原陽選手のコンバージョンゴールも成功し、前半14分、7-7と同点に戻した。

以降は互いにスティールを奪い合う拮抗した展開が続く。

栃木県13番・根岸悠羽選手に、神奈川県2番・中村悠棱選手(東海大相模3年)。

レベルの高い時間は続く。

前半終了間際に追加点を挙げたのは、神奈川県だった。

スクラムからエイタンで右サイドに出ると、その後左に戻しFWを当てながらトライライン前へ。最後はバックスへと開き、13番・久下蒼介選手(東海大相模3年)がグラウンディング。

12-7。神奈川県の5点リードで前半を折り返した。

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後半に入ると、栃木県が反撃に出る。神奈川県のモールをしっかりと抑え、自陣でマイボールスクラムを獲得した。

そこからまたしても、12番・福田キャプテンが自らの足で打開する。

ディフェンス網をかいくぐって敵陣まで歩を進めれば、ペナルティを獲得。敵陣深くでのラインアウトに移行すると、そこからボールを動かし、丁寧にフェーズを重ね、最後は7番・佐藤凌吾選手が中央でトライを決めた。

後半6分、コンバージョンゴールも成功し12-14と栃木県が逆転に成功する。

勢いを掴んだ栃木県は、その4分後にもトライを決める。

セットピースからデザインされた攻撃をやり切る強さと丁寧さ。

15番・手塚慈英選手が押し込めば、12-21と9点のリードを奪った。

試合時間残り15分で、9点差。

9点のビハインドを背負った神奈川県は、的を絞った。

桐蔭学園、東海大相模、関東学院六浦、日大藤沢、慶應義塾、湘南工科の計6チームから成るコンバインドチームで、主将を任された堂園尚悟選手は言う。

「自分たちにはフォワードの縦の強みがある。とりあえずボールを持って、そこ(フォワードの縦の強み)を意識して、(SO竹山)史人が裏のスペースを見て」トライを狙った。

すると、言葉どおりまずはボールポゼッションを優先する。

敵陣深くに入れば、FW戦に。粘って粘って、最後は18番・喜瑛人選手(桐蔭学園3年)が力強く押し込んだ。

19-21。後半20分、ついに逆転を射程圏内とした。

そして迎えた、後半ロスタイム。

FWのキープレイヤーたちがボールを持ち、前に進み、そして最後はスタンドオフの竹山選手が大外の西本友哉選手(桐蔭学園3年)に飛ばしパスを放れば、逆転への道は拓ける。

そのまま真っ直ぐ飛び込んだ西本選手。

24-21。

神奈川県が試合終了間際の5分間で9点差をひっくり返し、見事準決勝へと駒を進めた。

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選手コメント

神奈川県・堂園尚悟キャプテン

自分たちは即席チームなので、とにかく喋り続けてプレーしようと意識していました。ディフェンスで合わないところは絶対にあると思っていたので、相手にボールを渡したり、自分たちがミスをしたりすれば得点を取られることも分かっていました。とにかく一つひとつのプレー、パス・キャッチを丁寧にして、セットプレーを安定させて(と考えていました)。

明日の千葉県戦でも、そこをしっかりと大切にしようと思います。

栃木県・福田恒秀道キャプテン

9点差がついた時は、夏合宿でやってきたように、とにかくシンプルにエリアを脱出して、とにかくディフェンスで最後守り抜こうと思っていました。

でも最初のエリア脱出でミスをしたり、その後のディフェンスもあまり機能しなかったり。逆に守りに入っちゃったのが裏目に出たな、と思います。

プレー選択自体はそこまで間違っていたとは思わないのですが、やっぱりどこかで緩さが出たり、キックミスが出たり。結果論として、最後は精度が低かったと思います。バックスのキックの精度が低かったし、ディフェンスも全体的に悪かったです。

アタックは通用した部分もありました。でも一番大事なディフェンスがまだまだ。この代はまだ全員が良いタックルをできるわけじゃないし、メンタル的な部分でも去年のディフェンスに比べてまだまだ全然足元にも及ばないな、と感じました。


試合後、涙を流す選手もいた栃木県。今夏の菅平合宿では國學院栃木として負け知らずと全国7人制制覇から上り調子だっただけに、悔しい敗戦だった

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