「桐蔭がいるから、俺たちは前半頑張るよ」25点差をひっくり返した神奈川、千葉に勝利。東京も茨城に『魂』で競り勝ち決勝進出|第79回 国民スポーツ大会関東ブロック大会<少年男子>

10月に滋賀県で行われる第79回国民スポーツ大会「わたSHIGA輝く国スポ2025」への出場権をかけ、ラグビーフットボール競技の関東ブロック大会が始まった。

8月22日(金)には少年男子の準決勝が群馬県で行われ、神奈川県と東京都が決勝に進出した。

なお今年の関東ブロック代表は1チームのみ。

決勝戦は24日(日)10時に、桐生ユーユー広場でキックオフを迎える。

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少年男子 準決勝

神奈川県 40-25 千葉県

神奈川県:水色ジャージー、千葉県:黄色ジャージー

千葉県が4連続トライ。

のち、神奈川県が6連続トライ。

ジェットコースターのような50分間だった。

千葉県のノーホイッスルトライで幕を開けた一戦。落ち着いて左右にボールを振れば、左端で3番・阿部虎生選手が押し込み5-0。

流通経済大学付属柏高校の単独チームで挑んでいる千葉県。連携は群を抜く。

続く神奈川県のキックオフボールがダイレクトタッチに出てしまうと、マイボールでのセンタースクラムを獲得した千葉県。もちろんこの好機を逃さない。左サイドを駆け上がれば連続トライ。

10-0と勢いに乗った。

その後、敵陣中央で得たペナルティではペナルティゴールを選択した千葉県。

13-0と引き離すと、その後も立て続けに2本のトライを決める。

躍動する千葉県のアタック。ボールと人が動く、流れるような攻撃で、なんと試合開始から14分の間に4トライ1ゴール1PG。

神奈川県に攻撃の機会を与えぬまま、25点ものリードを奪った。

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0-25。

このまま千葉県が主導権を握り、ゲームは進んでいくかと思われた。

しかし、落ち着いていたのは神奈川県。そこから試合巧者ぶりを見せつける。

前半17分、敵陣深くでのラインアウトチャンスを得た神奈川県は、ロングスローイングからモールを組んだ。そのまま押し込み切り、モールトライ。

1トライを返し、前半を7-25で折り返すと、後半のスタートから4人の選手を入れ替える。

うち3人はフォワード。その全てが、桐蔭学園の選手たちだった。

司令塔を任された、10番・竹山史人選手(桐蔭学園3年)は言う。

「前半は(東海大)相模がセットプレーを安定させて、後半から桐蔭(学園)が入ってきて。前半、相模のFWが頑張ってくれるから、自分たちも消耗するけど相手も消耗する。そして相手が疲れてきた後半に、桐蔭のアタックができます」

前半のうちにどれだけ点数を取られてたって、後半になったら自分たちの時間が続くということを「最初から分かっていた」と説明した。

それでも「さすがに25点差はさすがに多いな」と笑ったが、信頼は揺るがない。

「前半負けていても、縦に縦にと当たっていけば必ず巻き返せる自信がある。どんな大会であれ『後半に巻き返す』と言ってくれる桐蔭のFWがいます。『桐蔭がいるから、俺たちは前半頑張るよ』と言ってくれる相模のFWもいます。ちゃんとチームで戦えているな、って思います」

オール神奈川。

神奈川県の強みを最大に生かした布陣で、挑んだ戦い。

すると後半開始早々、その交替したばかりの左プロップ、16番・田邊隼翔選手(桐蔭学園3年)がトライを決めると、その後も『縦』を駆使しながら陣地を進めた神奈川県。

後半11分には、5番・黒須樟選手(東海大相模3年)のトライで26-25と逆転に成功すると、後半12分、14分にもトライを加える。

0-25。

からの、40-25。

神奈川県が6トライ、千葉県が4トライで、神奈川県が勝利を収めた。


「このスタイルを変えずに決勝戦も挑みたい」(竹山選手)

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もう少し

「前半は、みんなの言葉の主語が『チーム』になって良いアタックができました。でも後半、トライを取られていくごとに『誰か』が主語になってしまって。他の人のせいにしてしまって、ちょっとずつチームから離れてしまったことが、最後のスコアに表れたかなと思います」

千葉県の、もとい流経大柏のスタンドオフ・大門歩瑠選手は試合後、そう振り返った。

集中力。

流経大柏として、60分間、チームの戦術を遂行しきる集中力を保つことが、喫緊の課題だ。

敗因は暑さではない。「気持ち」と、大門選手は断言する。

集中力の欠如は、一貫性の低下にも直結する。

「僕たちにはまだ、前後半をとおして一貫性をもって自分たちのプレーができる力がありません。そこが勝ち切れない要因。だから『誰か』ではなく、そういう時こそもう一度チームを落ち着かせて、チームとして次に何をするか、その修正をゲーム中にできるようになりたい」と、司令塔として決意を新たにする。

まだ、チームを勝たせることはできていない。

どうしたら、チームは勝ちきれるのか。

「いま、もう少しでそれが見つかりそうなところ。残り5か月、突き詰めていきたい」と口にした。

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また、スクラムハーフにポジションを移し僅か5か月の長谷川惺詞選手は、リズムを遅らせることなく捌き続けた。

流れるような流経大柏のアタックの起点となり、得意のディフェンスではインターセプトもスティールも決めた。

「まだできることはいっぱいある。もっと色んな経験をして、いっぱいラグビーを見て、花園までにはしっかりとゲームをコントロールできるスクラムハーフになりたいです」

お手本は、元オールブラックスのTJ・ペレナラ。

大型スクラムハーフとして、またディフェンスが得意なスクラムハーフとして、見て学び、描く像へと近付く覚悟だ。

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