10月に滋賀県で行われる第79回国民スポーツ大会「わたSHIGA輝く国スポ2025」への出場権をかけた、ラグビーフットボール競技の関東ブロック大会。
8月24日(日)には少年男子の決勝が群馬県で行われ、東京都が神奈川県に14-12で勝利し関東ブロック代表の座を掴んだ。
少年男子 決勝
神奈川県 12-14 東京都
ともに6校で構成されたコンバインドチーム同士の対戦となった、決勝戦。
東京都は『魂のディフェンス』を掲げ、意志が統一された集散を武器に勝ち上がってきた。
一方の神奈川県は、個の能力をチーム力に変える圧倒力を有する。
ディフェンスが勝つか、縦の推進力が勝るか。
勝負の50分間(25分ハーフ)は、東京都ボールでキックオフを迎えた。
試合が動いたのは、前半5分のこと。
ハイパントを蹴り上げた東京都だったが、これがミスキックに。加えて落下地点でペナルティをしてしまい、神奈川県にラインアウトの機会を与える。
そのチャンスを逃さなかった神奈川県。モールから6番・堂薗尚悟キャプテン(桐蔭学園3年)が押し込めば、5-0と神奈川県が先制する。
対する東京は、続くリスタートキックオフから左サイドでのラインアウトチャンスを獲得する。右のオープンサイドへと丁寧に開けば、最後は大外に構えていた14番・宮下隼キャプテン(國學院久我山3年)がトライ。
10番・中山大翔選手(早稲田実業2年)のコンバージョンゴールも成功し、前半8分に5-7。
両キャプテンのトライによって、決勝の火ぶたが切られた。
前半は、互いのディフェンス力が光った。
ラインアウトモールからトライゾーン前でのFW戦へと神奈川県が攻め込めば、トライラインでジャッカルを決めるは東京都。
エッヂのディフェンスではボールキャリアーを抱え上げ、タッチラインの外に押し出すクレバーさも見せた。
もちろん神奈川県も、素早いディフェンスラインの上がりで東京都のノックフォワードを誘う。
どちらがどのように、持てる100%の力をみせるか。
スコア変わらぬまま、前半終了の笛が告げられた。
ベンチでのハーフタイムを終え、後半へと向かう時のこと。神奈川県はめずらしく声を揃えてから配置についた。
異常なまでの蒸し暑さ。加えて、連戦。さらにいえば、各校夏合宿明けの厳しいコンディション。
「神奈川、ここからだろ?」と、浜倉裕也監督の声がベンチから響いた。
すると、ギアを上げた神奈川フィフティーン。
ここで意表を突くスペシャルプレーを披露する。
南アフリカ代表が先のテストマッチでみせた、フィールドラインアウト。そこからモールを組み、前進。相手ディフェンスを寄せ集めた所で球を動かし、最後は後半から登場していた右プロップ・喜瑛人選手(桐蔭学園3年)がトライへと持ち込んだ。
スペースのない場所を、自らのパワーによってルートをこじあけた一撃。
息を吹き返した神奈川県は、10番・竹山史人選手(桐蔭学園3年)のコンバージョンゴールも成功し、12-7。
後半7分、5点のリードを得た。
そこからの時間は、『縦の神奈川県』と『ディフェンスの東京都』の本領が発揮される。
神奈川県の個が縦に前進すれば、球を繋ぐ。
しかし東京もディフェンスで耐える。サポートプレイヤーの寄りが冴え、回数を数えきれぬほどのスティールを決めた。
「楽もう!」
「ここから!」
「笑顔だよ!」「魂!」
東京から響くポジティブな声の数々は、強力な神奈川のアタックを耐える原動力となった。
そして迎えた、後半20分。
敵陣に入り、ポール正面でペナルティを得た東京都は、ここでスクラムを選択した。
そのスクラムからボールを捌き、数人が当たったのち、ポール下に飛び込んだのは7番・宮本大地選手(國學院久我山3年)。
SO中山選手のコンバージョンゴールも成功し、12-14。
ふたたび東京都がリードを手にした。
「守りに入ったら負けるよ、魂!」
2点を先行しながらも、残り時間も攻める意志を伝えたのは、WTB宮下キャプテンだった。
負けられない神奈川県も、最後までボールを持ち、何度も攻め込んだ。
23番・安冨朝貴選手(慶應義塾2年)のランに、No.8足立佳樹選手のボールキャリー。いくつもの脅威となるプレーはあった。
しかし上回った、東京都のディフェンス。
12-14。
東京都が1つのコンバージョンゴール差を守り切り、見事関東ブロック代表の座を手にした。