明治大学
試合開始早々、ナンバーエイト藤井達哉選手が負傷交替。
立て続けに先発スクラムハーフの後藤快斗選手が出血のため一時交替と、難しいベンチワークを強いられた明治陣。
「想定外のことが起きた。これまでの対抗戦序盤では、経験したことのないこと」と、率いる神鳥裕之監督は振り返った。
後半ロスタイムに逆転トライを決められると、項垂れた明治陣。
ゲームキャプテンを任された7番・利川桐生選手もまた、膝をついた。
「自分たちのミスでどんどん自分たちを苦しめているのが今のチーム状況」と悲痛な表情を浮かべた。
平翔太キャプテンが不在の中、利川バイスキャプテンとともにピッチ上でのコントロールを託されたのは、3年生の司令塔・伊藤龍之介選手。
強い責任感をにじませる。
「あの状況(シーソーゲーム)にもつれ込むような試合にしてしまったことは、10番として反省しなくてはいけないところ。そこで安易なプレーからイエローカードを受けてしまいました。自分の情けないプレーだったなと思います」
初戦の緊張、背負う重圧。焦りが、勝敗を分けた。
またこの日はアタックの起点であるラインアウトが安定せず、ゲームメイクにも影響が出た。
「ラインアウトが安定しなかったのは、ゲームを組み立てる上ですごく難しかったです。でも、だからといって大きく変えることはできないので、今まで通りしっかりとハイパントを蹴ってプレッシャーをかけ、こぼれ球から展開するラグビーをするしかない」と切り替えた。
それでも「相手のプレッシャーや気迫に押されて、『大事なところでの小さなミス』がすごく重なったな、と。初戦で硬かったのか、若い選手も多く焦っていたのか、落ち着いてプレーできていなかったかな、というところはありました」
仲間を鼓舞することも、スタンドオフの大切な役割だ。押される試合展開になれば、どうしても個々人の視野は狭くなる。気持ちだって、否が応でも沈んでしまう。
「いかにみんなの気持ちを持ち上げるか、チームを前に出すか。特にフォワードを”乗らせる”ことが難しかったです。ラグビーの核となるFWが前に出られなければ、バックスも前に出られない。いかにFWが楽に、自信を持ってプレーできるかがすごく大事なのですが、まだ(自分が)未熟でした」と言葉を選んだ。
試合後。この日ウォーターを務めた平翔太キャプテンや神鳥監督からは「負けから多くのことを学んで、次に向かっていくしかない」との言葉を受けた。
伊藤選手も「まずは来週末の早稲田ジュニア戦でしっかりサポートして、そこからまた勢いをつけていきたい」と前を向く。
次の対抗戦ではない。Aチームだけではない。
チーム明治として、明治ラグビーを取り戻す。
