創立・創部70周年の東福岡、報徳学園との定期戦を33-12で制す「今年は、去年の卒業生のために結果を出さなきゃいけない」報徳学園も県予選に向け「弾みになった」

1955年に創立された東福岡高等学校。その歴史と同時に歩みを始めたラグビー部は、今年で創部70周年を迎えた。

幾多の名勝負を重ね、日本ラグビー界に数多の人材を輩出してきた名門。その節目を彩ったのが、9月21日に行われた報徳学園高等学校との定期戦である。

報徳学園との対戦は、約30年にわたり続けられてきた伝統行事だ。

毎年ホーム&アウェーを繰り返し、福岡に報徳学園がやって来るときには、選手たちが東福岡の部員の家庭にホームステイする。

単なる試合にとどまらず、互いの生活や文化に触れ合うことで築かれてきた友情と絆。その積み重ねが、この一戦を「ただの定期戦」以上のものにしている。

今年は「創立・創部70周年記念試合」と銘打ち、東福岡高校ラグビーグラウンドで行われた。

伝統と誇りを背負った両雄は、もちろんファーストジャージー姿で登場。試合前にはペナントの交換が行われ、東福岡は須藤蔣一キャプテン、報徳学園は近藤尊バイスキャプテンがそれぞれ手渡した。

互いに笑顔を交わした後、60分間の熱戦へと向かった。

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2025年の定期戦

試合は、互いのプライドがぶつかり合うディフェンス勝負から始まった。

両チームの防御網が機能し、攻防はハーフウェー付近で膠着状態が続く。

均衡を破るかに見えたのは東福岡。

スクラムペナルティを獲得し、敵陣ラインアウトからNo.8須藤キャプテンを当てて前進を図った。だが、すかさずボールを奪ったのは報徳学園。序盤からディフェンスに懸ける執念が鮮やかに表れる。

試合が動いたのは、前半10分のこと。

我慢強く守り、ボールを奪い返した東福岡が左端まで展開すると、6番・内田瑛佑選手がタッチライン際を疾走。そのまま約50メートルを駆け抜けるビッグトライで先制した。

10番・川添丈選手のコンバージョンも決まり、スコアは7-0。

勢いに乗った東福岡は、さらに攻め手を緩めない。

14番・平尾龍太選手の好ディフェンスから得たペナルティなどを起点に、ラインアウトモールで押し込む。2番・米田来海選手が2連続でモールから仕留めた。

SO川添選手も難しい角度のゴールをきっちり沈めれば、21-0と大きくリードして前半を折り返した。

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後半に入っても東福岡の勢いは止まらない。SO川添選手の50:22で敵陣に入り、再びラインアウトから攻撃を仕掛ける。

報徳学園もディフェンスで必死に応戦し、ノックオンを誘い、スクラムペナルティを奪っては意地を見せたが、その圧力を跳ね返したのが東福岡だった。

ボールを持てば、アドバンテージを生かしながら前進。SO川添選手は蹴らずに相手ディフェンスを引き寄せ、左サイドのスペースを確認すると、クロスキックを大きく蹴り込んだ。

待ち構えていた11番・礒部聖輝選手が確実にキャッチすれば、そのままトライゾーンへ。26-0と突き放した。

さらにFL古澤将太選手がトライゾーン目前でボールを持てば、フィジカルを生かし飛び込む。

スコアは33-0。試合を決定づける展開となった。

それでも、意地を見せた報徳学園。メンバーを入れ替え、フレッシュレッグで後半終盤に反撃した。

東福岡の反則を誘うと、敵陣深くのラインアウトからFWが押し込み、待望のトライを奪った(33-5)。

流れを手繰り寄せた報徳学園は、10番・平賀快選手が裏への短いキックを繰り返しチャンスを演出。マイボールスクラムからショートサイドを攻め、グラバーキックに走り込んだ選手が左サイドで追加トライを挙げる。

コンバージョンゴールも決まり、33-12と意地を示した。

前半は21-0、後半は12-12。

東福岡が序盤で築いたリードを守り切り、33-12と熱戦を制した。


プレイヤー・オブ・ザ・マッチは東福岡・SO川添丈選手に。記念品が贈呈された

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