ラストワンプレーで取りきった意地の1トライ「やりきった」|熊谷 59-5 城西川越|第105回全国高等学校ラグビーフットボール大会埼玉県予選 2回戦

第105回全国高等学校ラグビーフットボール大会 埼玉県予選が幕を開けた。

9月21日(日)には県内3会場で2回戦が行われ、12チームが勝ち進んだ。

Aシードも登場する準々決勝は、9月28日(日)に熊谷ラグビー場Cグラウンドならびに西グラウンドで行われる。

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熊谷 59-5 城西川越

熊谷:黒ジャージー、城西川越:青白ジャージー
熊谷高校キックオフから始まった試合は、前半20分まで城西川越高校が粘り強いディフェンスを見せ、無得点の時間が続いた。
その硬直状態を破ったのは黒いジャージーの熊谷だ。オフロードパスをつなぎ2トライを決め前半を14-0で終える。
続く後半も熊谷ペースで試合は進みトライを重ねる。
このまま試合終了かと思われたがラストワンプレーで城西川越が執念のトライを決め、ノーサイド。
熊谷が準々決勝に駒を進めた。

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負けたら終わりの花園予選、すべてを出し切る|熊谷

6月に行われた国スポ埼玉県予選決勝で慶應志木を10点差で破った熊谷高校。

今試合の6日前には宿沢杯(熊谷高校出身で、ラグビーワールドカップ1991では日本代表監督を務めた故・宿沢広朗氏を偲び、2019年に創設)で幕張総合高校と試合を行い、万全の態勢で試合に臨んだ。

試合開始直後から敵陣に入り込み、マイボールを継続し、試合を優位に進めていく。

12番CTBの田留源太郎選手がアタック、キックの双方で存在感を表し、熊谷が試合の主導権を握った。

前半に2トライを決め、続く後半も敵陣でのプレーを徹底する。

「まずは、ボールキープ。いつも0-0のつもりで落ち着いてやっていこう」

NO.8鯨井蒼主将は試合中にそうチームメイトに話し、攻守ともに堅実なプレーを促していた。

鯨井主将は、チームを勢いづけたプレイヤーに途中出場のHO川島有翔選手をあげ、後半から入ったフレッシュマンとして声やプレーでチームの士気を上げてくれたと話す。

川島選手の投入もあり、後半は計6本のトライを決め城西川越を突き放した熊谷。試合終了間際、城西川越にトライラインを割られてしまい、完封勝利とはならなかったが、59-5で初戦を勝ち切った。

次戦に向け鯨井主将は「(試合中に)失点し、チームが落ち込んでしまうことがあるので、自分が視野を広く持って、プレーの改善につながるような声掛けをしていく」と語る。

次戦は28日(日)、伊奈学園との接戦を制した立教新座と対戦予定だ。昨年の先輩方の背中超えもかかる次戦に熊高ラグビー部は、歩み続ける。

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ラストワンプレー『意地』で取りきった1トライ|城西川越

「『チーム一丸』となって戦えたのが一番大きい。でも悔しいし、もっとやりたかった」(主将・CTB積悠真選手)

「やりきった。自分たちの代が始まった時はどうなるかわからなかったが、ここまで熊高とやれるチームになってよかった」(副主将・FB足立樹哉選手)

「後悔無く終わった試合。自分の足りない部分も分かったし、今後ラグビーを続けるとなった時に生かしていこうと思った」(副主将・FL内藤柊太選手)

試合後、3人のリーダー陣が胸の内を話してくれた。

試合の多くの時間はディフェンスが続き、5回のペナルティから何度も自陣深くまで攻め込まれた。

それでも城西川越はディフェンスで前に出続け、トライラインを背に、耐えに、耐え抜く。だが、熊谷はチーム力で上回っていた。

後半に入り、熊谷は戦術を変え、猛追を受ける。計6本のトライを決められたが、選手たちの顔は下を向いていなかった。

試合終了間際に得点機が訪れ、熊谷の反則から得た、敵陣22m内側でのラインアウトモール。

会場の多くの観戦者がそのモールに注目し、城西川越のベンチからはノンメンバーの声援が響く。

その声援に後押しされるようにモールはトライラインまで押し進み、城西川越の「意地」を見せ、運んだボールはトライゾーンに届いた。

選手たちは念願のトライに喜びを爆発させる間もなく自陣へ戻った。ノーサイドの笛が鳴るその瞬間まで戦うために。

しかし、ゴールキック直後に笛は鳴り、最終スコア5-59で敗戦となった。

「前半のお前たちのプレーを見て、胸が熱くなったよ。自分のことしか考えてないようなお前たちがここまで戦えるようになって、本当に誇らしく思う」

並木大典監督は、試合後のミーティングで選手に話した。

後輩たちに向けて、主将・副将の3人が口を揃えて伝えたいことに「一番はみんな仲良くやってほしい。チーム内で別々にならないで一つの道に行ってほしい」を選んだ。

並木監督は、ミーティング内で早くも次の主将の名を呼んだ。

この試合の終わりを告げる笛が鳴った瞬間から、次世代のチームは始まっている。

積主将らが残した『チーム一丸』の言葉を受け、城西川越ラグビー部はさらなる高みへと進む。

執筆者
宮田脩平(みやたしゅうへい)
生年月日:2005年8月8日
出身校:埼玉県立川口北高校→大東文化大学
所属:大東文化大学スポーツ大東編集部(ラグビー担当)
ラグビー歴:高校から始め、3年時には主将を務める。現役時のポジションはスタンドオフ
好きなラグビー選手:池戸 将太郎(明治→東芝)
特技:スキー
趣味:ツーリング
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