第105回全国高等学校ラグビーフットボール大会 埼玉県予選が幕を開けた。
9月21日(日)には県内3会場で2回戦が行われ、12チームが勝ち進んだ。
Aシードも登場する準々決勝は、9月28日(日)に熊谷ラグビー場Cグラウンドならびに西グラウンドで行われる。
早大本庄 68-10 滑川総合


『かませ!』下剋上を果たすために|早大本庄
早大本庄が掲げる今季のチームスローガンは『かませ』だと答えたのは、主将のCTB矢島快修選手。
目指すプレーはアタック・ディフェンスともに後ろに下がらず前に出る、接点で負けないようにすること。強豪校に下剋上するためには、ラグビーに関わる全てにおいて、かますことが求められる。
2回戦を振り返って矢島主将は「まずは初戦を突破できたことにほっとしている。それでも接点で勝ちきれないところもあった」と話した。
今年のチームは、選手一人ひとりに特徴も、強みもある。
その中でもHO本多匠選手はフォワードのバイスキャプテンとして引っ張り、またSO赤塚心之助選手も3年生唯一のラグビー経験者として、スキルスフルなプレーでチームに貢献する。
矢島主将自身は、得意分野とするボールキャリーでしっかり前に出てチームに勢いを持たせたい、と自信をもって語った。
この日会場には、同校の應援團と在学生なども観戦に訪れ、得点のたびに大きな盛り上がりを見せていた早大本庄陣営。
次戦・準々決勝の深谷高校戦が正念場だ。3年間の高校ラグビー生活、一度も強豪校を相手に勝てたことはない。
目指すは下剋上。目標である『ベスト8』を目指し、かます戦いに挑む。
「絆」叶わなかった3人での試合|滑川総合
創部3年目を迎えたチームの出発点は、小さな同好会だった。
その輪を広げたのは、主将のPR吉田光太選手。仲間を集め、現在の姿へと成長させてきた。
3年生はわずか3人。この試合も2年生が大半を占める、若いチームだった。
しかし、出場した3年生は吉田主将とHO星野秀明選手の2人のみ。
もう1人のPR蛸井颯太選手は、試合当日に公務員試験が重なり出場できなかった。
「蛸井選手のために勝って、次の試合で3人揃って出場したかった」
その道が絶たれたことを、吉田主将と星野選手は涙ながらに「申し訳ない」と語った。
試合は早大本庄に主導権を握られ、反撃の一打を放つも力及ばず敗戦。
それでも後半は反則もなく、最後まで戦い抜いた。
試合を終えた2人の3年生は、口々に言った。
「まずは結果に関係なく、みんなと一緒にラグビーができて本当に嬉しく思います。今まで応援してくれた保護者や支えてくれた人たちがいたから、ここまで頑張ってこられました」(星野選手)
「3人しかいない3年生のところに、多くの後輩たちが入ってきてくれて、今の滑総ラグビー部があります。仲間がいなくて寂しい思いをした時期もありましたが、だんだん仲間が増えていきました。主将になってからも3年生は3人しかいなくて、チームを引っ張れないこともあったけれど、何とかやりきることができました」(吉田主将)
人との繋がりによって築かれてきた滑総ラグビー部。
ユニフォームに刻まれた『絆」』の文字には、スローガンである『兄弟の絆・Band of Brothers』の想いが込められている。
吉田主将はラグビー部を「家族のような絆を持った、絆あふれる集団」と表現した。苦楽を共にし、学年の壁を越えて過ごせる存在だと。
今大会の開会式で選手宣誓を務めた吉田主将。実は試合当日の9月21日は、彼の誕生日でもあった。
3人揃って試合に出る願いは叶わず、涙のあふれる一日となったが、宣誓で誓った言葉「これからの人生において、一生の思い出になる大会となるよう、ノーサイドの笛が鳴るまで、全力でプレーすることをここに誓います」を全うした。
全力で戦い抜いた3年生の姿は、観る者の心に深く刻まれた。
そして、その背中を見た後輩たちは、さらに強い絆を胸に前へ進んでいく。
宮田脩平(みやたしゅうへい)
生年月日:2005年8月8日
出身校:埼玉県立川口北高校→大東文化大学
所属:大東文化大学スポーツ大東編集部(ラグビー担当)
ラグビー歴:高校から始め、3年時には主将を務める。現役時のポジションはスタンドオフ
好きなラグビー選手:池戸 将太郎(明治→東芝)
特技:スキー
趣味:ツーリング
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