筑波が立教を64-3で退け暫定3位「ブレずに愚直に体を当て続けた」筑波PRは初出場、初スクラムで初ペナルティを獲得|関東大学ラグビー 対抗戦Aグループ

9月13日に幕を開けた、関東大学ラグビー 対抗戦Aグループ。

11月22日(土)には、秩父宮ラグビー場で筑波大学と立教大学の伝統の一戦が行われ、64対3で筑波大学が勝利を収めた。

&rugbyを応援する

2012年以来13年ぶりの対抗戦優勝への望みをつなぐため、ボーナスポイントを含む「勝ち点6」が欲しい筑波。

迎え撃つ立教は、今季初勝利を掴みたい一戦だった。

立教ボールでキックオフ。先に試合を動かしたのは筑波だった。

キックで陣地を獲得したあと敵陣深くで得たペナルティを起点に、ラインアウトモールサイドを突破。SH高橋佑太朗キャプテンが前半10分、先制トライを奪う。

勢いそのまま、リスタート直後も一気に展開。右サイドで15番・増山将選手、11番・内田慎之甫選手がスピードに乗ってボールを繋ぎ、最後は内田選手が超速フィニッシュ。

前半14分で14−0、筑波が試合を掌握した。

対する立教もここから反撃し、敵陣でプレーする時間を得た。

何度もトライゾーンへ迫ったが、グラウンドには至らない。それでも前半37分、中央正面のペナルティから13番・佐藤侃太朗選手がPGを沈め、スコアを14−3とした。

しかし、再び流れを引き寄せたのは筑波だった。

キックオフからの攻撃で再度取り切り、内田選手がこの日2本目のトライ。

さらに前半終了間際には高橋キャプテンが再びインゴールへ押し込み、28−3で前半を折り返した。

後半に入っても筑波は攻撃のテンポを落とさない。展開ラグビーとセットプレーの精度を武器に、6トライを重ねて立教を突き放す。

立教も最後までトライを狙い続けたが、スクラムでの反則や自陣から抜け出せない時間が重なり、得点チャンスを継続できなかった。

最終スコアは64−3。筑波大学が今季5勝目を挙げた。

この結果、筑波は勝ち点6を積み上げ総ポイントは28。早稲田(32)、明治(30)に次ぐ暫定3位につけた。

一方の立教は、この試合で得た勝ち点は1のみ。総ポイントは6となり、同節で日本体育大学が青山学院大学に勝利したことで、現時点で最下位に沈む。

入替戦を回避するためには、最終節・日体大戦でのボーナスポイント付き勝利が必須条件となる。

広告

Pick Up Player

この日、対抗戦初出場を果たした選手がいた。

筑波大学の右プロップ・寺山公太選手(2年)。

試合後、充実感を漂わせた表情で「緊張はしなかったです」と笑った。

出番が訪れたのは後半26分。ファーストプレーは、なんとスクラムだった。

そこできっちりとペナルティを奪い、存在感を示す。

仲間が笑顔で背中を叩きに駆け寄ってくれたことも、デビュー戦の思い出だ。

実は以前、対抗戦でのメンバー入りが目前まで迫った時期があった。

しかしそのときは「緊張しすぎてしまって、練習で全然自分の動きができなくなってしまった」と振り返る。苦い経験が残っていた。

だからこそ今回は、心の準備から変えたという。

「心の置き所を作りました。だから今回はほんとに緊張しなくて。周りからは『めっちゃ緊張してる』と言われましたけど(笑)」と肩の力を抜いて臨んだ。

嶋崎達也監督も、その変化を見届けていた。

「気負っている部分があったので、まずはリラックスしてこい」と送り出しつつも、「ジュニア戦での出来が非常に良かった。スクラムでしっかり力をつけてきていたので、心配はしていませんでした」と信頼を寄せる。

大学入学後、身体は目に見えて変化した。

筋肉量は5kg増え、体脂肪は減少。体重自体は入学時より軽くなったものの、より競技に適した身体へと磨かれた。

それでも本人は、現状に満足しない。

「スクラムの経験値がまだまだ足りない。ありがたいことに今、経験を積ませてもらっている段階です。その中で、チームとしての課題と、自分個人の改善点を全部洗いざらい出し切って、しっかり整理して、一つずつ突き詰めたい」と、これからの決意を口にした。


写真中央右、寺山選手が挨拶する立教大学の選手は、川越東高校時代ともに共同キャプテンを務めた高尾将太選手

広告