9月13日に幕を開けた、関東大学ラグビー 対抗戦Aグループ。
12月6日(土)には、熊谷ラグビー場Bグラウンドで最終節の2試合が行われ、日本体育大学が48-21で立教大学に勝利。筑波大学は青山学院大学に62-15で快勝し、今季6勝目を挙げた。
この結果、筑波大学は対抗戦2位の座を確保し、大学選手権出場が決定。
一方、日本体育大学は今季2勝目を挙げ、勝ち点16で対抗戦6位でシーズンを締めくくった。
総勝ち点12の青山学院大学と7の立教大学は、それぞれ7位・8位となり、対抗戦Bグループとの入替戦に臨むことが決まった。
日本体育大学 48-21 立教大学
キャプテンのために ~日本体育大学
関東大学対抗戦Aグループ最終節。
日本体育大学は立教大学に48–21で快勝し、今季2勝目を挙げた。
この結果、日体大は入替戦回避が決定した。
「今日の勝因はスクラム、そして規律です。前半2本、後半1本、反則は合計3本。これが結果に繋がりました」
秋廣秀一監督は、この日圧倒した“規律”を口にした。
相手を押し返したスクラムに、テンポを乱さない反則の少なさ。いずれも日体大が対抗戦で勝つために欠かせないポイントであり、48点という大量得点の土台にもなった。
では、この“規律”はいかにして生まれたのか。
秋廣監督は少し照れくさそうに、しかし確信を持って語った。
「生活面から整えてきました。マスク着用、遅刻禁止、決めたことを守る。破ったらペナルティ。恥ずかしいくらい基本的なところですが、自分たちで決めたルールを徹底することから始めました。大野キャプテンが中心になって、厳しく続けてくれた。それが今日の試合にも表れました」
勝つチームの基礎を、一つひとつ積み直した1年。その成果が、48点というスコアに結実した。

もう一つ、対抗戦6位を掴み獲るためには欠かせなかったプレイヤーがいる。
11番・大野莉駒キャプテン
「大野を嫌う選手はいません。『大野くんのために戦いたい』という選手ばかり。人柄とリーダーシップが、今年のまとまりにつながったと思います」と監督は称した。

下級生の頃からチームの中心として試合に出場し続けてきたキャプテンが、チームを導いた1年だった。
「メンバーとメンバー外、という壁をつくらないように意識してきました。練習ではメンバー外が相手役として強度を上げてくれるし、学年関係なく意見を言い合える。今日は良い一体感で試合に挑めたと思います」と誇った、大野キャプテン。
試合中、ピッチ内外から飛んだ喝や声援。日体大の48点は、ピッチ上の15人だけが取ったものではなかった。
大野キャプテンは、4年間を思い返しながらこう付け加えた。
「日体が最後に大学選手権に出場した翌年に入学しました。だから自分も大学選手権に出場したいという気持ちで入りましたが、2年生の時はBグループに落ち、3年生の時には入替戦に回ってしまいました。だから今年は絶対に入替戦に行きたくなかった。なので今日の勝利は本当に嬉しいです。この勝ちを後輩たちが来年につなげて、さらにもう1勝するためにはどうしたらいいのかということを考えて、来年は大学選手権に戻ってほしいです」
悔しさの歴史を背負いながらも、それを更新する形で掴んだ“入替戦回避”。
チーム全員で勝ち取った、価値ある一勝だった。

もう一度、自分たちを信じて ~立教大学
「対抗戦1勝を目指して、この2週間を過ごしてきました。しかし最終的には、自分たちのミスで良い流れを潰してしまった。そこが敗戦につながったと感じています」
率いる関澤翔太監督は、しっかりと試合を振り返った。

前半からペナルティを多く与え、スクラムでは日本体育大学に大きく押し込まれた。
後半に入っても、追撃の芽を自ら断つような反則やミスが続き、追いつく展開を描けなかった。
前後半あわせた反則数は、なんと19を数える。
「試合後、白石キャプテンから部員全員に向け『やってきたことは間違っていなかった』との言葉がありました。それを否定するつもりはありません。ただ、自分たちで流れを断ち切ったことが勝利を逃した要因だと受け止めています」
次週の入替戦に向けて、ペナルティの改善策について問われると、関澤監督は言葉を続けた。
「スクラムは1週間でどうこうできるものではありません。だからこそ、この1年間やってきたことをもう一度信じて、残り1週間を過ごしたい」
あれこれ詰め込むのではなく、積み上げてきたものを信じて戦う。
迷わずに前へ進む意志が、短い言葉の中に宿っていた。

一方、悔しさをにじませながらも冷静に試合を見つめたのは、白石和輝キャプテン。
「アタックもディフェンスも優位に立てる部分はありました。ただ、セットプレーがうまくいかなかった。特にスクラムの重要性を、改めて感じました」
そして話題は、前夜にチームのSNSに投稿した言葉へと移る。
『ぶるな、らしく』
この1年、白石キャプテンが自らに課したキーワード。これは國學院栃木高校時代の恩師、吉岡肇監督から言われた言葉だという。
「キャプテンだから、4年生だからと“ぶる”のではなく、4年生らしく、主将らしく。そして自分らしくいること。自分が背負う立場を意識しながらも、自然体の自分にみんなはついてきてくれるのだと、この1年を過ごしてきました」
たとえ苦しい状況にあっても、「落ち込んだりしないことが自分らしいところ」と優しく微笑んだ白石キャプテン。
「来週に向けてやるべきことはもう決まっています。落ち込むのは、終わってからにします」
言葉の奥には、キャプテンとしての覚悟と責任、そして揺るがぬ芯があった。

スクラムで苦戦し、反則が重なり、勝機を掴みきれなかった対抗戦最終節。
だが、立教大学が見据える先はひとつ。そう、翌週末に控える対抗戦Bグループとの入替戦。
来年も再び対抗戦Aで戦うための、最後の1週間。
関澤監督は「1年間やってきたことを信じる」と言い、白石キャプテンは「自分らしくチームを引っ張る」と語った。
勝てなかった悔しさも、積み重ねてきた努力も、すべてをこの一戦に注ぎ込む。

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