対抗戦最終節。筑波が2位、青学・立教が入替戦へ。4年間全ての対抗戦で10番先発出場は筑波・楢本副将「全部が僕の学生ラグビー」|関東大学ラグビー 対抗戦Aグループ

筑波大学 62-15 青山学院大学

貫くもの ~青山学院大学

「今シーズンで一番、気持ちを込めて戦いました」

静かに語ったのは、青山学院大学のFL八尋祥吾キャプテン。

慶應義塾大学戦、明治大学戦と黒星が続き、チームは掲げていた大学選手権出場の夢を断たれ「下を向く気持ちはありました」。

だが、歩みを止めるわけにはいかなかった。

八尋キャプテンは、すぐに次の現実を見据えた。

「入替戦にまわってしまうと、来年の春季大会でCグループにまわってしまいます。春季大会Bグループにも残せない、ということが懸念だったので、4年生としてチームに残せるものを考えた時に『ここは絶対にやり切らないといけない』という思いが凄い強かったです。だから4年生がまとまって、気持ちを向けました」

迎えた最終節・筑波大学との一戦。

入替戦行きか、春季大会Bグループを後輩たちへの置き土産とするか。

「格上相手に、ミスを恐れて縮こまっても勝てる相手ではありません。だからミスを恐れるのではなく、自分たちの強みを出し切ること。テーマを『アグレッシブ』に掲げ、強気な練習を積み重ねた2週間でした」

糊谷浩孝ヘッドコーチも「個性のある学年ですが、今日に向けて4年生が本当にまとまり、全員が良い準備をしていた」と評価する。

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思いはぶつけだ。だが、届かなかった。

青山学院大学は50点近い点差をつけられ、筑波大学に敗れた。

八尋キャプテンは、試合をこう振り返る。

「思いを前面に出せた試合ではありました。でもやっぱり力及ばず。相手のキープレイヤーや早いランナーに翻弄され、セットプレーやラインアウトでも乱されたことが敗因だと思います」

気持ちだけでは越えられない壁が、そこにはあった。

この結果により、対抗戦7位が決定。対抗戦Bとの入替戦にまわることが決まった。

残された、最後の1週間。青山学院は、八尋キャプテンの下、不退転の覚悟で挑む。

「この1年間やってきたことを、どれだけ発揮できるかだけにこだわりたいです」

4年生としての責任。ともに戦った仲間への思い。後輩に残したい未来。

そのすべてを胸に、青山学院大学は入替戦へと向かう。

糊谷浩孝ヘッドコーチ コメント

本日の試合では、筑波大学さんが激しくくることを想定していましたので、ブレイクダウンやセットプレーをしっかり準備してきてました。

最初の方はしっかり対応できていましたが、だんだんと時間が経つにつれて所々で押されたこと、そこが敗因かなと思っております。

でも選手は最後まで諦めずに、ひたむきにやってくれたことを誇りに思っております。

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4年間の集大成 ~筑波大学

過去4年間の対抗戦において、筑波大学の“10番”に名を連ね続けてきたのは、楢本幹志朗選手。

年間7試合、4年間で計28試合。そのすべてで、スタンドオフとして先発出場した。

「遡れば分かりませんが、近年ではおそらくいない」という偉業を成し遂げた。

全てが好調ばかりのシーズンではなかった。それでも楢本選手は、歩みを止めることなく、4年間に渡ってグラウンドに立ち続けた。

顔を負傷し、フェイスマスク姿で出場した試合もある。昨季は大学選手権を逃した責任感も胸に残る。

「思えば、楽なことばかりではなかったな、って。1年目は名門の10番を背負うプレッシャーもありました。パフォーマンスが良くなくても、嶋﨑(達也)監督は懲りずに僕を使ってくれた。それが本当に自分の経験値になりました。昨年は大学選手権を逃し、筑波としても不甲斐ない戦いをしてしまいましたが、そんな良くない時期も含めて、悪かった経験も良かった経験も、全部が僕の学生ラグビーです」


2023年の大学選手権

だからこそ、今はただ一つを願う。

「最後に、その集大成を出したい」と。

「4年間出続けられたこと、怪我なく終えられたこと。両親には本当に感謝しています。でも僕らの目標はまだ終わったわけじゃない。日本一まで、あと3試合。しっかり勝ち切って、『学生ラグビー、良かったな』と思って終われるように頑張りたいです」

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嶋﨑達也監督 コメント

対抗戦の最終戦ですが、やはり昨年青山学院大学さんに敗退したということを全部員非常に悔しい思いからこのチームはスタートしているので、その思いを1つにして、このゲームに挑みました。

うまくいかない時間帯も少しありましたが、ベースの部分、セットプレートやコンタクト周りで本当に体を当て続けてくれて、こういう結果に繋がったのかなと思います。昨年逃した大学選手権に今年は進めるので、しっかり準備して臨みたいと思います。

ーー大学選手権を前に、後半終盤にはスクラムを押し込みペナルティトライを獲得した。この意義は?

セットプレーが弱いチームで、上位になることはできない。昨年も時間をかけましたが、なかなかうまくいかなかった。今年は非常に多くの方々の力をもらえて、日本代表の竹内くん(竹内柊平、東京サントリーサンゴリアス)や大学院生のコーチなどいろんな人に協力してもらいながら、みんながしっかり取り組んだ結果だと思います。今日は対抗戦前半に出場していた茨木海斗が不在の中、イーゴリ(・ボンダレンコ)と寺山(公太)の2人がチーム内の競争の中で力をつけてきました。この場でスクラムを押したことは、チームとしての成長を感じます。

高橋佑太朗キャプテン コメント

昨年の結果から、今回の試合を『フォーカス・自分たち』に決めました。結構前のめりになってしまうシーンがあると思うんですけど、その中で筑波らしいアタックをしようということを試合前から話していました。実際ミスも多かったのですが、しっかり修正して自分たちのラグビーができた結果が出たのかなと思っています。

今回出た課題を修正して、大学選手権に臨んでいきたいと思います。

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