試合概要
第105回全国高等学校ラグビーフットボール大会 1回戦
【対戦カード】
茗溪学園高等学校 29-41 常翔学園高等学校
【日時】
2025年12月27日(金)13:15キックオフ
【場所】
花園第3グラウンド

試合結果
大阪の強豪・常翔学園高校と対峙した、茨城県代表の茗溪学園高校。
結果は29-41。初戦突破はならなかった。

ゲームプランは、4トライ以上をとって、3トライ以内に抑えること。
攻撃面に関しては、満額回答ができた。この日奪ったトライは5つ。大きな収穫だ。
「シード校でもおかしくないチームを相手にも、しっかりとトライを取れたことは『自分たちがやってきたことは間違いない』という自信にもなった」と話すは、芥川俊英監督。夏以降、アタックに重きを置いてきた成果が表れた。
スペースにボールを運び、バックスが連動し、外へ、外へとボールを運ぶ躍動感あふれるラグビー。「自分たちが狙ってきた形は、ある程度出せたと思います」とHO山田朔太キャプテンも言葉を重ねる。実際、相手ディフェンスを外に揺さぶり、鋭くゲインする場面が幾度もあった。

一方で、ディフェンス面では厳しい現実が突きつけられた。
3トライ以内に抑えれば勝機はある、と描いていたプラン。しかし結果的に7つの被トライ。倍のトライを浴びた。
最大の誤算は、相手フォワードによる縦への圧力だった。
「9シェイプの縦の圧力は想定以上でした」と話すは、スクラムハーフの堺太郎選手。球際で感じた常翔学園の上手さを、言葉にする。
「全国選抜大会の大阪桐蔭戦では、展開が怖かったので開いて守りました。でもそれだと守れない。だから今回は内側に寄ったのですが、展開力のある相手の10番と15番に、自分たちが開かされてしまった。それで1対1の状況を作られてしまったときの『9シェイプの縦』では止められなかったな・・・と感じます」
連続失点も、流れを大きく左右した。「我慢するところで、我慢しきれなかった」と山田キャプテンは悔やんだ。

中学から茗溪学園で過ごした堺選手。「茗溪のラグビーが楽しかった。茗溪は9番のチーム。そこが難しいところでもあったけど、悩んで悩んでやり続けて、コーチ陣の方に支えられて成長できたことが嬉しかったです。楽しい6年間でした」
試合後、芥川監督は一つの覚悟を口にした。
「関東にいると、ああいうフォワードが前に出てくるチームと対戦する機会が少ない」
関西特有のラグビースタイルは、関東ではなかなか味わえないのが現実だ。大会日程や環境の制約もあり、簡単に関西遠征ができるわけではない。それでも、芥川監督は続ける。
「関西遠征を考えようかな、と」
異なるスタイルに触れ、肌で圧力を知る。その経験の積み重ねが、全国の舞台では如実に現れる。「外に出ようかな、と今は思っています」。未来図に手を加えるつもりだ。

そしてこれで後輩たちに後を託す山田キャプテンは、メッセージをのこす。
「自分たちが決めた目標、自分たちのやりたいラグビーを、後輩たちには自分たちのやり方で貫いてほしい」
主体性。それこそが、茗溪学園の根幹である。
「この悔しさを忘れずに、後輩たちにはまた花園に戻ってきてほしいと思います」
