松山聖陵 7-19 高鍋

長く続いた均衡を破ったのは高鍋だった。
前半21分、11番・森瑛人選手が左サイドでボールを受けるとグラウンディング。
流れがやってきたとみるや、キックで勝ち、エリアでプレッシャーをかけ、FW戦でトライを重ねた高鍋。
19点を連取し、試合を決めた。
昨年は2回戦で大分東明と同点抽選のうえ、花園を去った高鍋。あの日を、乗り越えた。
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ベスト8を目指した。だが、及ばなかった。
松山聖陵2番・栗栖稜世選手は、肩を落とす仲間1人ひとりに「ナイス!」と声を掛けながら、背中を叩いて回った。

高校日本代表候補でもある13番・阿塚心選手は、左ふくらはぎの筋膜炎で1回戦の出場を回避。コンディション的には「70%ぐらい」だったが、この日はグラウンドに立った。
相手は、日頃から練習試合を重ねている高鍋。
「2年生の頃から練習試合を4回くらいしてきて、これまでに勝ったのは1回だけ。負け越している相手に、花園では絶対に勝ちたいと思っていました」
だから、策を用意した。
バックスでエリアをとり、フォワードがモールで勝負する。その通りのゲームメイクをしたが、序盤に3本、モールでトライを取り逃してたことが響いた。
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「やられた。抜け殻のようです」
渡辺悠太監督は、まだ現実を受け入れきれぬ表情でその悔しさを表した。「自分たちの強みを出そう、と送り出しました。だからモールで取りきりたかった。押しきらなきゃいけなかったと痛感しています」
勝負を分けたのは、対応力の差だった。
グラウンディングが認められないモールを、いかに押し込みきるか。セットピースについてもどのように、60分間の中で適応していくか。
強みを磨くだけでは勝利を掴めぬのがラグビーだと、改めて知った今年の花園だった。

大阪桐蔭 61-3 光泉カトリック

序盤は光泉カトリックの好ディフェンスに流れを掴み切れなかった大阪桐蔭。
だが個々の強さで、リードを広げる。
連続攻撃を仕掛ければ、勝負あり。61-3で大阪桐蔭が勝利を手にした。
流経大柏 10-29 國學院栃木

先制点を奪ったのは國學院栃木だった。
敵陣深くで得たラインアウトからモールを形成し、じりじりと前進。最後は2番・千野雄平選手がグラウンディングした。
前半17分には、福田恒秀道キャプテンが鋭いステップでディフェンスを切り裂きトライ。さらに20分、キックカウンターから11番・池田健心選手が抜け出し、逆サイドへ丁寧につなぐと、最後は6番・佐藤凌吾選手がフィニッシュした。
対する流経大柏も反撃に出る。前半終了間際、スクラムで得たフリーキックからフェーズを重ね、5番・フォラウ隼人選手が押し込みトライ。
5-19と國學院栃木の14点リードで前半を折り返した。

後半も主導権を握ったのは國學院栃木だった。
後半15分、6番・佐藤選手が内返しのパスに反応し、この日自身2本目のトライを挙げる。
一方の流経大柏は19分、モールで押し込み2番・藤倉悠輝キャプテンがグラウンディング。反撃に転じたが、しかし試合終了間際、國學院栃木15番・手塚慈英選手がペナルティゴールを沈め、ノーサイド。
スコアは10-29。
國學院栃木が、ホコタテの関東対決を制した。

試合後、國學院栃木のCTB福田キャプテンは表情を引き締めて語った。
「ここにベストな状態を持ってこられるよう準備してきましたが、ディフェンスではエラーが多かった。そこは修正しなければいけないと思います」
個々の守備、そして組織としての守備。ともに課題を感じたという。
福田キャプテン自身は前半終盤のトライライン際の攻防で左太ももを痛め、足を引きずりながらのプレーとなった。それでも「全然大丈夫です」と、力強い目で言い切り、次戦へと向かった。
また「初戦ということもあって緊張もあり、ディフェンスでのエラーはありましたが、勝ち切れたことは良かった」と振り返ったのは、この日2トライを挙げた6番・佐藤凌吾選手。
「良い形でボールをもらえたことがトライにつながりました。昨年の花園準決勝での敗戦から、ディフェンスだけでは勝てないと感じて、この1年はアタックに力を入れてきた。アタックで流経大柏さんを上回れたことは、次につながると思います」と手応えを口にする。
上々の結束力を見せた國學院栃木。頂点へと続く道を、確かな足取りで踏み出した。

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一方、落ち着いた声色で試合を振り返ったのが、流経大柏の相亮太監督だ。
「今日はフォワード戦にこだわりました。非常に良い試合だったと思います。序盤は浮足立った部分もありましたが、時間が経つにつれてしっかり戦えるようになった。今年は戦える選手が揃っていながら、なかなか大会で結果を掴みきれなかった代。この花園で何とか決勝まで、という思いもあったので、それを果たせず悔しいです。ただ、後半の戦いは互いの良さがぶつかり合った内容でした。3年生の意地を感じました」
1回戦では裏のオプションを見せ、この日はフォワードの真っ向勝負を選んだ流経大柏。
「サイズやフィジカルに強みのあるフォワードが多いので、ラグビーの根本である接点で圧倒しようとしました」と意図を明かしたのは、スタンドオフの大門歩瑠選手。抽選会で2回戦の相手が國學院栃木と決まって以降、フォワード勝負を想定した準備を重ねてきたという。
しかし「前に出ようとする分、ミスが増えてしまった。歯車が合わなかった」と唇を噛む。
「去年も30日で(桐蔭学園に)負けて、今年はチームを勝たせられる10番になろうと思っていました。でも最後に、自分の弱さを知りました。この負けを、この先のラグビーに生かしていきたいです」
スタンドからは、メンバー入りできなかった仲間たちの声援が途切れることなく響き続けた60分。
39期のラグビーは、ここで幕を下ろした。


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