「焦って空回りするな」東福岡が事前に準備したこと。東海大相模はラストモールに涙「やりきれない」|第105回全国高等学校ラグビーフットボール大会

試合概要

第105回全国高等学校ラグビーフットボール大会 準々決勝

【対戦カード】
東福岡高等学校 21-17 東海大学付属相模高等学校

【日時】
2026年1月3日(土)10:30キックオフ

【場所】
花園第1グラウンド

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試合内容

実力拮抗の準々決勝。

やはりラグビーは面白い、を見せてくれた、1月3日の最初の60分間だった。

前半8分。

相手ボールラインアウトをスティールした東福岡。中盤で12番・半田悦翔選手がゲインラインを突破すると、ラック最後尾からSH黒木真洸選手がハイボールを蹴り上げる。そのボールは確保できなかったが、東海大相模の選手がキャッチした瞬間に14番・平尾龍太選手がドミネートタックル。相手のペナルティを誘った。

攻守が連動し、相手にプレッシャーをかける。それが、東福岡の一つの形だ。

前半は東福岡が主導権を握った。多くの時間を敵陣で過ごした東福岡だったが、なかなか決定機を生み出せない。縦に、横にと圧をかけてくる大きなフォワード陣擁する東海大相模に、苦しめられた。

東福岡のFW平均体重が96.5kgに対し、東海大相模は97.9kg。正面突破では簡単にこじ開けられず、策を探る時間が続いた。

均衡を破ったのは前半も半分を過ぎた、23分のことだった。

ラインアウトモールで押し込んだかに見えたが、グラウンディングは認められず。それでもアドバンテージを得た東福岡は、タップスタートからフォワード戦にこだわった。

2桁フェーズに届く手前で押し込んだのは3番・武田粋幸選手。15番・ 早坂俊吾選手のコンバージョンゴールも成功し、東福岡が7点を先制した。

対する東海大相模も、すぐに反撃する。続くキックオフから相手のノックフォワードを誘い、この試合初めて敵陣での攻撃権を得た。

一度は東福岡にボールが渡るも、相手スクラムでペナルティを得ると、敵陣深くでのマイボールラインアウトからフォワードが執念深くフェーズを重ねた。

実に20フェーズ。

東福岡も粘り強いディフェンスで何度も食い止めたが、しかし最後は4番・笹部隆毅選手がラックサイドに飛び込みトライ。

前半32分、ワンチャンスを確実にものにした東海大相模が7-7の同点に追いつき、ハーフタイムを迎えた。

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後半の先制点も東海大相模だった。

フィールドラインアウトからモールを形成し、ペナルティを獲得。続くラインアウトでは、ジャンパーからずらした位置でモールを組むと、勢いよく押し込んだ。グラウンディングしたのは7番・田村駿介選手。

後半5分、7-14。東海大相模がリードを奪った。

さらに後半11分。東海大相模はハイボールを蹴り上げ、東福岡に取らせた直後のドミネートタックルでペナルティを獲得すると、ペナルティゴールを選択した。

9番・須永健心選手が冷静に沈め、7-17。

50大会ぶりにベスト8入りを果たした東海大相模が、20大会連続で準々決勝に進出している東福岡から、なんと10点のリードを奪った。

1トライ1ゴールでは逆転できない点差をつけられた東福岡。

その時、東福岡の応援席から響いたのは、ベンチ入りできなかった100人以上の部員による応援歌『博多の男』だった。

ーー♪博多の男なら~気持ちを見せろ~♪ーー

直後、試合は動く。

15番・早坂選手のゲインからアドバンテージを得ると、控えスタンドオフの川添丈選手がパスでディフェンスを切る。走り込んだのはNo.8須藤蔣一キャプテン。ボールを持てば必ず前進していた主将が、内へ切り込みトライを決めた。

後半14分、14-17。東福岡が3点差に詰め寄った。

それでも、3点ビハインドの時間は試合終盤まで続く。

ペナルティゴールでは同点抽選。自らの力で勝ち切るには、トライを取るしかない東福岡。3点を狙う素振りを見せることなく、落ち着いてボールを動かし、敵陣でフェーズを重ねた。

後半25分を過ぎると、プレーエリアは東海大相模陣の22m内へ。ボールを持つは、東福岡。

決定機が生まれたのは後半26分のこと。東福岡はまず、左サイドで11番・礒部聖輝選手が前に出た。内へ返すと、7番・古澤将太選手がラックを形成し、アドバンテージを獲得。

するとその瞬間、ラックサイドに僅かな隙間が生まれる。見逃さなかったのは、スクラムハーフとして後半22分から登場していた、22番の橋場璃音選手。パスダミーで東海大相模の目を切ると、ラックサイドを駆け上がった。

東福岡が、ついに逆転に成功する。

FB早坂選手のコンバージョンゴールも成功し、21-17。今度は東海大相模にトライが必要な状況となった。

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残り時間は、あとわずか。

続くキックオフボールを確保し、敵陣10m内へと侵入した東海大相模。ブレイクダウンでサイドエントリーのペナルティを得れば、レフリーから告げられた残り時間は「あと1分とちょっと」。

大きいフォワード、磨いてきたフォワード力で勝負する、格好のシチュエーション。東海大相模は、迷いなくラインアウトからモールを組んだ。

東福岡にとっては絶対絶命のピンチだったが、東海大相模がモールを進め始めると、ボールはモールの中からこぼれ落ちる。

まさかの、東海大相模のノックフォワード。

両陣数名の話をまとめるに、この時東海大相模のモール内では「経由ミス」が起こっていたという。本来であれば人がいないところに人がいた、それによってボールはこぼれ落ちたそうだ。

「あと30秒」の声とともに組まれた、ラストスクラム。東福岡がボールを蹴り出し、笛は鳴った。

17-21。

東海大相模の猛攻をしのぎ切った東福岡が、2年ぶりのベスト4進出を果たした。

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