御所実業
現役生にとっては、初めてたどり着いた花園の舞台。
「ここに立てていること自体が、誇りだと思っていました」
そう語るのは、御所実業のゲームキャプテン・津村晃志選手。この試合、グラウンドに立ち続けたリーダーの1人だ。

だが、その誇りを示すために積み上げてきた“ゴセのラグビー”は、思うように形にならなかった。
試合後、統括リーダーのPR藤井威吹選手は、言葉を詰まらせながら涙を流した。
「ゴセのラグビーが、何もできなかった」
悔しさの理由は、敗戦そのものだけではない。
自分たちが目指してきたスタイル、すなわち高速で外へ展開し、相手を前に出させないアグレッシブなディフェンスが、この日は機能しなかった。

原因ははっきりとしている。
「誰が誰を見るか。そこが、全然合いませんでした」
独特の緊張感。相手の勢い。
それらが重なり、試合の中で最も大切な“声”が、次第に届かなくなっていった。
ペナルティが重なり、流れを引き戻すきっかけも掴めない。修正しようとすればするほど、コミュニケーションは難しくなっていったという。
「自分が役割を果たせなかった。チームには、謝ることしかないです」
藤井選手は、そう涙をこぼした。

後輩たちにゴセを託した藤井選手「結束力をもっと強くしてほしい。基礎と基本を、もう一度大事にしてほしい。そして、必ずまた花園に戻ってきてほしい」
4大会ぶりの花園出場となった御所実業。直近3代上の先輩たちは、花園に届かなかった。
その悔しさを引き受け、立った花園の舞台。
「頑張れ」
「勝て」
と先輩たちが託してくれた想いに応えたかった。

津村選手は言う。
漆黒のジャージーを着て、花園に立つこと。それは簡単なことではない、と。
「公立高校でも、ここまで来られる。それを、誰かに見せたかった」


だから、どれだけ苦しい展開でも、津村選手は声を止めなかった。意識していたことはただ一つ。
仲間を勇気づけること。そして、最後までやりきること。
後半、流れが相手に傾いても、声をかけ続けた。
「まだ行ける」「最後までやろう」

結果は厳しいものだったが、試合後、津村選手からは仲間への感謝に溢れる。
「最後までついてきてくれて、本当にありがとう」

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