令和7年度 埼玉県高等学校ラグビーフットボール新人大会の決勝戦が1月31日(土)、くまぴあグラウンドで行われ、川越東高校が熊谷高校に55-17で勝利。川越東高校が今季最初の埼玉県王座に輝いた。
この結果、川越東高校は3月に開催される第27回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会への出場を決めた。また決勝に進出した川越東高校と熊谷高校の両校は、2月に行われる第26回 関東高等学校ラグビーフットボール新人大会に出場する。
決勝戦 川越東 55-17 熊谷
初優勝を目指す熊谷と、3年ぶりの新人戦チャンピオンを狙う川越東の一戦は、互いに激しく体を当て合う、堅いディフェンスバトルで幕を開けた。
しかし、先にトライへと結びつける力を示したのは川越東だった。
右サイドを余らせる形で数的優位を作り、ファーストトライを奪う。さらにゴール前へと切り込んだアウトサイドセンターがペナルティを誘発。ここはペナルティゴールを選択し、10-0とリードを広げた。
対する熊谷も、ファーストスクラムで興味深いバックスの布陣を敷く。敵陣中盤でのスクラムからボールがスムーズに展開されていれば、サインプレーでの得点も狙えた場面だった。
しかし、ここはターンオーバーを許し、絶好機を逃す。
すると川越東は、その隙を逃さない。フィジカルの強さを前面に押し出しながらボールを継続し、一気に陣地を回復。トライライン前で得たペナルティからラインアウトモールを形成し、確実に押し切った。
15-0と川越東が主導権を握ったまま、前半を折り返した。

後半最初のトライも川越東だった。個の強さで上回ると、一気に取り切り22-0。
それでも熊谷は、連続ペナルティを足がかりに敵陣深くへ侵入。ラインアウトモールを組み、最後は自ら潜り込んでトライを奪う。
22-5と反撃の狼煙を上げた。
だが川越東は流れを渡さない。スクラムで優位に立つと、そこから連続トライ。試合は一気に動き、スコアは36-5と大きく開いた。
きっかけを掴みたい熊谷は、敵陣22mでのマイボールラインアウトからスクラムハーフが素早く球出し。スタンドオフがパントを蹴り上げると、トライライン目前でキャッチしたのは12番・田留源太郎バイスキャプテンだった。36-12。

しかし、川越東は連続スコアを許さない。続くキックオフから左サイドを崩してすぐにトライを奪い返すと、さらに中央のギャップを突いて得点を重ね、48-12とした。
残り時間はわずか。点差は開いたものの、熊谷は自分たちの形を見失わない。相手陣で得たペナルティからラインアウトを選択し、モールを押し切って3トライ目を挙げる。48-17。
このまま試合終了かと思われたが、最後に魅せたのは川越東だった。スクラムからの美しいファーストフェーズアタックでダメ押しのトライを決め、ノーサイド。
55-17。川越東がトリプルスコアで勝利し、今季最初の栄冠を手にした。
川越東
埼玉県新人大会を制した川越東。チームを率いる望月雅之監督は、決勝に向けた準備を「これまでで一番、勇気のいる選択だった」と振り返る。
準決勝・昌平戦での消耗を踏まえ、翌2日間を完全休養に充てた。練習強度も大胆にコントロール。仕上げは木曜日の1日だけに絞り、内容もディフェンスに集中させた。
「今年は土台ができている。だからこそ、思い切って休ませられました」
その判断が功を奏した。決勝戦は「引き締まった試合ができた」と望月監督。フィジカルに、セットプレー、タックルとすべての基準が一段階引き上げられ、川越東らしい“守って、前に出る”ラグビーで60分間を制した。

その中心にいたのが、13番の谷川史人選手だ。今季のバイスキャプテンを務める者として、プレーでチームを引っ張る。
「まずはディフェンスからのチームなので、自分の得意なタックルで貢献したい」。谷川バイスキャプテンの守備を起点にリズムを生み出した。
攻撃時には、冷静な判断力も光る。
「ボールを持ったら、まず相手の人数を見ます。余っていれば外。余っていなければ、自分で行きます」
シンプルな言葉の裏に、積み重ねてきた実戦経験。「望月監督のおかげで、たくさん経験させてもらいました」と、1年時から多くの試合に出場し、挑戦と修正を繰り返してきた時間に感謝する。

埼玉県王者として挑むは、関東新人大会。今季最初の、関東王者を決める戦いだ。
谷川バイスキャプテンは「レベルの高い相手にチャレンジできることは、チームの成長につながる」と前を向く。
鍛え上げたフィジカルと盤石なディフェンス。その軸を自信に、迷いのない判断を下しながら、川越東は関東の舞台で“自分たちのラグビー”を試す。
熊谷
埼玉県新人大会を準優勝で終えた熊谷高校が、埼玉県2位として春の関東新人大会へと駒を進めた。
初舞台への切符を手にした一方で、決勝の内容は決して満足のいくものではなかった。試合後、横田典之監督は「完敗です」と言い切った。
勝敗を分けた要因は2つある。
「やりたいアタックができず、攻撃を継続できなかったこと」。そして「スクラムの不安定さ」だ。
準決勝の熊谷は、粘り強くボールをつなぎ、複数フェーズを重ねながら主導権を握る時間帯を作れていた。しかし決勝では、相手の圧力を受け思うようにボールを出せず、3フェーズ以上のアタックがほとんど見られなかった。
「アタックがほとんどできなかった」「攻撃を継続できなかった」。ハーフタイムには、選手たちに「3フェーズ以上のアタックを」と横田監督は伝えていたというが、ボールを保持する時間を作れなかったことで、試合は次第に守勢へと傾いていった。
さらに重くのしかかったのがスクラムだ。ディフェンスでボールを奪い返しても、直後のスクラムでペナルティを取られる場面が続き、流れを自ら断ち切ってしまった。「スクラムはダメだった」。監督の評価は厳しい。
守る時間が長くなったのも、攻撃とセットプレーが噛み合わなかった結果だった。

それでも、光がなかったわけではない。横田監督が唯一評価したのはモールにある。押し込む力は健在で、形を作れた場面もあった。また、ディフェンスでもブレイクダウンでボールを奪い返すなど、点差以上に踏ん張った時間帯があったことは、次につながる材料でもある。
とはいえ、優勝を目標に掲げてきたチームにとって、この結果は「到達点」ではない。「関東新人大会に行けるようになったのは成果。でも、優勝するためには足りない部分がたくさんあります」。横田監督はそう総括する。
春の関東新人大会でチャレンジするは、ボール保持時間の増加と攻撃の継続だ。どんな相手にも、圧力の中でボールを持ち続けられるか。横田監督は、関東新人大会を「チャレンジ以外の何物でもない」と位置づける。
短い準備期間の中で、果たしてどこまで修正できるか。
完敗から始まる春。熊谷高校は、試される舞台へと踏み出す。
◇
バイスキャプテンのCTB田留源太郎選手は、敗因を「ラグビーの一番根底にあるコンタクト」と表現する。戦術やスキルを積み重ねても、最後はそこに立ち返る。体が小さく、高校からラグビーを始めた選手が多い熊谷にとって、避けては通れないテーマだ。
今季のチームスローガンは「狂(くるう)」。
「100%では勝てない。だからリミッターを外して120%を出すために『狂』を掲げました」
未知の舞台に挑む覚悟を込めた。

- 1
- 2