【1回戦】早実が21-17で東海大相模に競り勝ち、流経大柏が日川を26-20で振り切る|令和7年度 第26回関東高等学校ラグビーフットボール新人大会

國學院栃木 81-0 東京農大二

國學院栃木

突出したスターはいない。だからこそ、全員で守る。國學院栃木の新キャプテン、PR岡田佑獅朗選手は、その覚悟を言葉にする。

新チームが発足し1ヵ月。

「今年は、スペシャルな選手はいません」と断言する。

だからこそ、自らの役割は明確だ。昨年から試合に出てきた自身が、声でもプレーでも先頭に立つ。その責任感が、主将としての背骨を形成する。

國學院栃木が代々大切にしてきた鉄壁のディフェンスは、この日も健在だった。前日のミーティングでも繰り返し確認されたのは、「伝統のディフェンスをやり切ること」。その約束を、ピッチの上で守り抜いた。相手を無失点に抑えた試合後、岡田キャプテンは静かにうなずく。「まずは0点に抑えられて、安心しました」。

完封はゴールではないが、國學院栃木の基準を満たした証でもある。

華やかな個の不在は、言い換えれば、全員が主役になれる余白でもある。國學院栃木のディフェンスは技術の集合体であると同時に、意識の結晶だ。タックルの一歩、寄りの一歩、戻りの一歩。その積み重ねが、相手の得点を奪い、試合の主導権を引き寄せる。

「キャプテンだから全部やらなければならない、とは全く感じていません。仲間が助けてくれると信じています」

全員で守り、全員で勝つ。國學院栃木が守り続けてきた伝統とともに、2回戦・茗溪学園戦へと向かう。

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熊谷 7-70 茗溪学園

熊谷

関東新人大会、初出場を果たした熊谷。

その一戦で、「差」を知り、「財産」を手にした。

相手は全国有数の強豪、茗溪学園。スコアだけを見れば大敗となったが、試合後の表情に悲観は少なかった。率いる横田典之監督は、この敗戦を「次に繋がる経験」と総括する。「やれたことも、やれなかったことも、両方ありました」

県大会決勝では出せなかったボールの継続や連続攻撃が、この日は幾度も繰り出すことができた。粘り強いディフェンスで踏みとどまり、我慢の時間を重ねる。終盤に奪った一本のトライは、単なる一矢ではない。「前に出て、繋げば取れる」と、理屈ではなく、体感することができた瞬間だった。

ボールを持った選手が前へ出る。接点で前に出て、次に繋ぐ。ボールを持つべき強いプレイヤーが相手ディフェンスを引き寄せれば、最後はミスマッチを突きトライに持ち込む。継続という課題を、結果で証明した瞬間だった。

若林夢翔キャプテンも指揮官と同様の手応えを口にする。

「点差は悔しい。でも、自分たちが用意してきたアタックを最後まで続けて、取り切れた。そこは成長です」

初めて出場した関東新人大会。それでも臆することなく「チャレンジャー」として気持ちを切らさなかった。試合を楽しめたと語る言葉には、上の基準を知った者の前向きさがにじむ。

最大の収穫は、全国レベルの“基準”を肌で知れたこと。その一言に尽きる。

テレビで見ていた強さは、実際に対峙すると質が違う。茗溪学園は、当たるべき場面と当たらない場面を使い分け、クラッシュせずとも前進する。短いパスをつなぎ、余裕をもって局面を解決したと横田監督は言う。「画面越しじゃ分からない。実際にやって、大敗した方がよっぽど強くなれる」。埼玉県にはないタイプのラグビーを経験できたことが、かけがえのない財産だ。

もちろん、課題も多い。良いプレーの継続性。良い場面は「切り取れば」確かにある。だが、それを続けるにはまだ、至っていない。ターンオーバーや好守の直後にミスが出ること。コンタクトと判断の質も磨く必要があること。その大切さを身をもって知った。

だから、強化の方向性は変えない。通用したアタックを、切らさずに繋ぐ。日々の練習の質を、この敗戦を基準に引き上げる。

初めての関東新人大会。差は見えた。同時に、道も見えた。

最後に奪ったトライは、熊谷が目指すラグビーが全国に届くという証だ。

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山梨学院 112-0 東海大浦安

東海大相模 17-21 早稲田実業

東京都王者・早稲田実業と、神奈川県2位・東海大相模が激突した、1回戦屈指の注目カード。

先に試合を動かしたのは早稲田実業だった。

前半5分、飛ばしパスを受けた14番・飯泉敢太選手が巧みなステップで相手をかわし、そのままトライゾーンへ。7点を先行する。

だが東海大相模もすぐに応戦する。

前半13分、ラインアウトモールからフェーズを重ね、力強く前進。最後はトライラインを割り、試合を振り出しに戻した。

前半は7-7。互いに譲らぬ展開のまま折り返した。

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後半に入って再び主導権を握ったのは早稲田実業だった。スクラムでペナルティを奪い、敵陣深くへ。ラインアウトモールを押し切ると、12番・中山大翔選手が難しい角度からのコンバージョンを成功させ、後半10分に7-14と再び前に出た。

ブレイクダウンの集散を速め、クイックテンポでボールを動かし続ける早稲田実業。エリア、ポゼッションともに優位に試合を進めていく。

対する東海大相模は、トライライン目前での粘り強いディフェンスを見せる。ただ、ボールを動かし反撃に出る場面では、エッジでのミスが目立ちチャンスを生かしきれない。スタンドからは、惜しむ声が何度も上がった。

強い風の影響もあり、両チームはスタンドオフを軸にロングキックでエリアを取り合う展開に。互いに強烈なプレッシャーをかけ合い、キックチャージも1本ずつ決めた。

その流れから得点に結びつけたのは東海大相模だった。一度はキックチャージ直後のペナルティでプレーが止まったものの、続く攻撃から順目に当ててボールを展開すると、後半15分、左サイドを突き11番・黒木瑛大ゲームキャプテンがトライ。ゴールは外れ、12-14と2点差に迫った。

しかし早稲田実業は動じない。続くキックオフから一気に敵陣へ押し込み、テンポを落とさずフェーズを重ねる。後半19分、再び14番・飯泉選手がグラウンディングし、12-21と突き放した。

追い込まれた東海大相模は、ベンチからの声援を背に積極的に仕掛ける。少しずつ前進し、後半27分、右外で13番・青野龍樹選手がトライ。ゴールは決まらず、17-21。

この場面で、早稲田実業に反則の繰り返しによるイエローカードが提示される。

残り時間はわずか。逆転を狙い、東海大相模が猛攻を仕掛ける。

スクラムでペナルティを奪い、再び攻撃権を得たが、アタックは思うように前へ進めず、最後はグラウンド中盤でノットリリースザボール。

ファイナルスコアは17-21。

激戦を制したのは、早稲田実業だった。

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東海大相模

新体制の船出は、厳しい現実を突きつけられる形となった。東海大相模は、関東新人大会1回戦で敗戦を喫した。

試合後、三木雄介監督は現状を包み隠さず語る。

「負けるべくして負けた。能力がなかったですね」

厳しい言葉には、現実から目を背けない覚悟があった。

新チームは、まだ形を持たない。キャプテンも決定しておらず、主将代行としてゲームキャプテンが置かれた。もちろん、スローガンも決定していない。

だから、か。試合では連携が噛み合わないシーン、ミスが重なった。相手のプレッシャーなのか、見えない重圧なのか。ボールは思うようにつながらない。「外側が思っているタイミングと、内側が思っているパスのタイミングが違った場面があった」と話すは、11番の黒木瑛大選手。この日、主将代行を務めた。

三木監督が強く指摘したのは、「勘違い」だった。

「去年の3年生がやってきたことを、勘違いしていた」。それは決して、技術の話だけではないだろう。先輩たちが積み重ねてきた日々の厳しさ、勝つために必要な準備や姿勢。そのプロセスを、自分たちの現在地と取り違えていたのではないか。敗戦は、その認識の甘さを浮き彫りにした。

戦術面でも狙いはあった。熊谷の強風を考慮し、キックを使うプラン。10番の初速を生かしたラン。しかし、それらは勝利を手にするまでには機能しなかった。

だからこそ指揮官は言う。「ここから、やり直しです」。ゼロからの再出発を、迷いなく選んだ。

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早稲田実業

白星を掴んだ早稲田実業。だが、勝利の余韻に浸る者はいなかった。今季のキャプテンを務めるHO・村山康剛選手は、試合後に自らのチームの出来栄えを「50点」と厳しく評価した。

村山キャプテンが勝因として挙げたのは、セットプレーとブレイクダウンの改善だ。スクラム、ラインアウトで優位に立ち、接点で質の高いボールを確保できたことが、試合の主導権につながった。「まずはフォワード勝負。セットプレーで上回れたことが大きかった」。相手のサイズや圧力ではなく、自分たちの“スタンダード”を60分間やり切れたかどうか。その基準で試合を捉えている。

この意識の背景には、昨冬の花園での悔しさがある。全国大会で対戦した東福岡高校戦。そこで早実は、持ち味であるクイックテンポのアタックを出し切れなかった。

原因は明確だった。アタック時のブレイクダウンで良いボールを供給できず、テンポを上げる前に相手に止められたこと。村山キャプテンは、その反省を新チームの出発点に据えた。

新人戦以降、徹底して取り組んできたのがボディコントロールだ。タックルを受けた後の“寝方”。そこが悪ければ、すぐに相手に絡まれ、ボールは遅れる。東京都の新人戦では、その課題が露呈した。だからこそ、コンタクト時に自ら体をコントロールし、相手にジャッカルの機会を与えない倒れ方を反復した。その成果が、ブレイクダウンの安定につながり、球出しの速さを生んだ。

それでも、村山キャプテンが自己採点を50点に留めた理由は、規律にある。

試合終盤、ペナルティが重なり、イエローカードを招いた。「最後までクリーンにやり切れなかった」。どれだけ良い内容でも、60分間を通して基準を崩さないこと。それができなければ、強豪には勝てない。だからこそ、評価は厳しい。

完成度についても同様だ。「まだ去年のチームには全然届いていません」

新チームは発足したばかりで、連携も磨き途中。だかそれはどのチームも同条件。だからこそ村山キャプテンは「新3年生は仲がいい。それがこのチームの強み」と断言する。チームワークを土台に、精度を高めていく視界は良好だ。

今年の目標は一つ。

「花園でシード校を倒す」

昨年味わった悔しさを知るメンバーが多いからこそ、リベンジへの思いは強い。

相手に合わせるのではない。自分たちのスタンダードを信じ、60分間やり切る。その先に、結果はついてくる。

自己評価・50点の勝利。それは、まだ伸び代があるという証でもある。

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