ただいま、熊谷ラグビー場!

誰も、こんな2020年を望んでいなかった。

だけどようやく、本当にようやく、ラグビー場にラグビーファンが戻ってきた。

最後に熊谷で有観客の試合が行われたのは、2月15日のトップリーグ・パナソニック ワイルドナイツ 対 東芝ブレイブルーパス戦。

実に8ヵ月以上、熊谷ラグビー場Aグラウンドはお客さんの帰りを待ち続けていた。

久しぶりに会う友達のような

熊谷ラグビー場名物といえば、ラグビー場周辺の出店をあげる人も多いのではないか。空腹を満たすガッツリ飯からお土産用のお菓子に、もちろんビールとラグビーグッズまで。色とりどりのお店が、試合の日には並ぶ。

そんなお店の方々も、この日を待ちわびていた。

熊谷駅前でベーグル店『ウスキングベーグル』を営む臼杵健さんは、第一声が「気持ちがいい」だった。

「本当は知らない人ばっかりだけど、久しぶりに友達に会いに来たような感覚でここに立っています。お客さんも、そうやって声を掛けてくれるんですよ。嬉しいですね。」

ラグビーを盛り上げようと開発したラグビーボール型のベーグル『みそぱんべーごー』も大人気で、入場開始前から行列が途切れない。「熊谷名物と言ってくれる人もいて、本当に幸せです。これからもラグビーが熊谷の文化となるよう、選手も関係者も市民もみんなで精いっぱい頑張っていきたい。」と話す。

 

平成3年に旧・熊谷ラグビー場が建設された頃から、熊谷をラグビータウンとして盛り上げようとラグビーボール型の焼き菓子を販売する、地元の老舗和菓子屋『御菓子司花扇』。もちろん、熊谷ラグビー場出店事業者の大常連だ。

「(新型コロナが)まだ心配な部分もありますが、ラグビー場に戻ってこれたことにワクワクしています。今日をきっかけに再びラグビーを盛り上げていきたいですね。パナソニック ワイルドナイツも熊谷に移転しますし、新商品も用意しました。楽しみにしています。」


ラグビー選手がいるお店も

熊谷駅前に販売店を構える『canterbury / ARUKAS』のブースには、アルカス熊谷の山下果林選手(写真右)が販売員として立っていた。地元のラグビー選手が、違う側面で携わる。なんともラグビータウンらしい景色だ。

「自粛期間中は本当にキツかったです」と語るのは、店長の滝野さん(写真左)。「2月のトップリーグ時には、2万人のお客さんの景色を見ることができました。今日は、再びあの夢のような光景を目指すための一歩目ですね。」

ずっとここ熊谷でお店を続けていきたい。だから、はやく日常が戻ることを願う。

 

熊谷ラグビー場で飲料といえば、近江屋酒店。夏の暑いときには冷えたビールを、真冬の風吹き荒れるときには温かい飲み物を、昔からずっと提供してくれている。実は昨年のラグビーワールドカップ2019でも、熊谷のファンゾーンでハイネケンの生ビールを販売していたのがこの近江屋酒店なのだ。(スタジアムは缶ビールだったが、熊谷のファンゾーンはしっかりと「生ビール」)

ひっきりなしにテントに訪れるお客さんを見ながら「本当に待ち遠しかった。とにかくラグビーが再開して嬉しい、それに尽きます。」と語るのは、代表取締役の村上貞男さん。

これからもずっと、熊谷ラグビー場で美味しいビールとジュースを提供していきたい。熊谷ラグビー場に来てくれたお客さんに喜んで欲しいから、自動販売機よりも安い値段で販売する。

そんな近江屋酒店のブースでお手伝いをしていたのは、昨年度の大学ラグビー選手権で優勝トロフィーを掲げた幸重天さん。早稲田大学ラグビー部で副将を務めた後、今年4月からサントリーの社員として働いている。

(写真左から サントリー・幸重天さん、近江屋酒店・村上貞男さん)

この日が初めてのラグビー場での販売員だったという幸重さんは「朝早くから関係者の方々が、会場の中だけでなく周りも準備されていることを初めて知りました。多くの方々に支えられているんだ、と改めて感じます。違う角度からラグビーを知れて楽しかったですね。」と話す。

ブースにいると、早稲田大学OBや保護者、ラグビーファンからも声を掛けられた。「仕事でも、ラグビーと同じように上を目指して努力していきます。まずはこの担当エリアである熊谷・深谷で、ラグビーを違う角度から盛り上げたいです。」

 

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熊谷ラグビー場には、ラグビーへの熱い想いを持った人たちが必然的に集まる。

次回の有観客ゲームは、関東大学対抗戦の12月6日。慶應義塾 対 帝京など、対抗戦優勝が掛かるであろう熱い試合が行われる。防寒対策をしっかりとしたうえで、ラグビー場周辺の各ブースもぜひ、じっくり覗いてみてほしい。



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