東京オリンピックでメダル獲得を目指す、女子7人制日本代表。その候補選手たちが5日午前、埼玉県・熊谷市での練習を報道陣に公開した。
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関東地方が今年一番の冷え込みとなった今日。朝早くから埼玉県の最北・熊谷に集まった報道陣を見るなり、中村知春選手が「寒い中熊谷までありがとうございます」と声を掛ける。グラウンド外でも心遣いができる選手だ。
この日は1時間半に渡り、細かくディフェンスシステムを確認する練習が続いたが、その中でも中村選手は気付いたことを都度周りの選手に伝える。たくましくもあり、心強くもあり。全方向のコミュニケーション能力に優れる32歳は、チーム最年長としてグラウンド内外で後輩たちに背中を見せる。
最近は激しいコンタクト練習もできるようになってきたというが、この日はコンタクトよりもコミュニケーションを重視。細かな部分の確認が続く。選手も幾分、リラックスムードか。たくさんの笑顔が見れた。
東京オリンピック開幕まで、あと259日。ここから再び強度を上げ、世界と戦う準備を整える。
黒木理帆選手(立正大学4年/ARUKAS QUEEN KUMAGAYA所属)
練習の最後には、今週のウィークリーキャプテンを務める平野優芽選手から、ファンの皆様へメッセージを預かった。
「だんだんコンタクト練習も出来るようになってきて、刺激し合いながら激しい練習が出来ています。早くみなさんに試合を見せられるように、元気づけられるように、と頑張っています。引き続き応援をよろしくお願いします。」
長田いろは選手 インタビュー
練習後、長田いろは選手(立正大学4年/ARUKAS QUEEN KUMAGAYA所属)がオンラインで会見を行った。
ーー今日の練習の手ごたえは?
最近は、チームとしてディフェンスを中心に練習している。今日はきつい練習というよりも、ひとつひとつのディフェンスシステムの確認がメインだった。細かなコミュニケーションを取りながらできたと思う。セットスキルも反復練習中なので、日本の強みにできるよう練習していきたい。
ーーステイホーム期間中のモチベーションについて教えてください
自粛期間中は、ワールドシリーズの映像を見返していた。オリンピックが延期になったことをプラスに捉えると、準備期間が延びたとも言える。もう一度基礎に戻ろう、と思い、春はパススキルにフォーカスして練習を重ねた。そのおかげでパスの精度が高くなり、アタックの幅が増えたと思う。
ーー誰と練習をしていたのか?
3月半ばにチーム活動が停止し、4月に完全停止した後に実家(福岡)へ帰った。7月まで約2か月間、実家で弟2人(大東文化大学1年の一志選手、筑紫高校2年の士導選手)とともに毎日近所の公園でトレーニングをした。他の選手は実家に帰っても練習相手がいなくて苦労していたが、弟2人ともフォワードの選手なので首の取り合いやコンタクト練習を一緒にできて良かったと思う。
今週末は一番下の弟が花園予選決勝なので、ぜひ勝って花園行きを決めて欲しい。私も応援に行きたいです。
ーー来年は、オリンピック(7人制)と女子のワールドカップ(15人制)がある
セブンズに注力しようと決めた。ニュージーランドで行われるワールドカップも出たかったが、「東京オリンピックに出て、メダルを獲得したい」という気持ちの方が強かった。
ーー女子ラグビーのファンを広げるため、まずターゲットにしたい層はどこか?
同世代ですかね。女子ラグビーに興味を持ってもらいたい、というのはもちろんのこと、「わたしも頑張ろう!」と思ってもらえたら嬉しいので。遠征や合宿もあり、あまり大学に行けていないが、SNSを通して試合の告知を積極的にしている。
ーー『いろは』という名前の由来を教えてください
いろはにほへと、の『いろは』が由来。物事の始まりや、一番になる、という意味を込めてつけられた。
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一番になることを予言された名前、『いろは』。東京オリンピックで、メダル獲得を狙う。