開始10分で大東の空気にすることが僕の使命【vol.2 押せ押せ大東おじさん・大島良博】

関東大学リーグ戦1部に所属する、大東文化大学ラグビー部。

飯島均氏(パナソニック ワイルドナイツGM)やラトゥウィリアム志南利氏をはじめ、近年ではRWC2019日本代表メンバー・茂野海人選手(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)などを輩出してきた伝統校だ。

 

そんな大東の試合を観に行くと、スタンドからひと際大きな声で「大東ー!スクラム、押せ押せ押せーーー!」と叫ぶ声が聞こえてくる。出所は、スタンド中央の大東ベンチ寄り。学生の席ではない、一般観客席だ。

真夏の照り付ける日差しの日だって、冬の凍えるように寒い日にだって。顔を真っ赤にして精一杯声を張り上げる声の主は、大島良博さん。大東スクラム押せ押せおじさん、と言えば伝わる人も多いだろう。

コロナ禍でこれまでのような応援ができない今シーズン、新たな応援をはじめた大島さんに、どんな想いで毎試合駆け付けるのか話を伺った。

笑われてもいいから感情を取り戻して欲しかった

そもそも、なぜこの応援スタイルになったのかと聞けば、「登録外の部員が、無気力で無反応。ただ見ているだけ、という姿がどうしても許せなかったんです。」と切り出した。
「2009年、2010年頃だったでしょうか。スタンドにいるノンメンバーの選手たちに、全く感情が見られなくて。どうにかして、選手たちに感情を取り戻してほしいということがきっかけでした。それで、大東がスクラムを押す時に『大東、スクラム押せー!』と言い出したんです。」

すると、ノンメンバーの選手たちの表情が変わった。

「笑顔が見えたんですよね。笑顔というか、むしろ笑われてると言った方が正しいかもしれないですが。それでも『無』が『笑』になったんです。それが嬉しくて。」

笑われてもいい、いやむしろ、僕の応援で感情を取り戻してくれるならば、笑ってくれ。

2019年11月16日の大東v法政戦より。ノンメンバーに見せるために、あえてTシャツの背中側に言葉をしたためる。

スポンサーリンク