1人のゲームチェンジャー 筑波大v日本体育大【関東大学対抗戦Aグループ 第7週】

日体待望の初トライは、後半27分。15番のハラトア・ヴァイレア選手が敵陣22m付近で抜け出すと、追いかけてきた筑波11番・植村陽彦選手に向けて投げキスをしながらトライを決めた。この日、日体が奪った全ての得点は、このヴァイレア選手によってスコアされたものだった。

 

残念ながら大学選手権への出場を逃した日本体育大学。

僅か1ヵ月ほど前、学生に新型コロナウイルスが確認された。11月7日に行われる予定だった明治大学との対抗戦は、辞退。選手たち、とりわけ4年生にとっては、苦しい1年間を過ごした。

スクラムハーフとして先発出場しながらも、後半途中からウイングにコンバートした9番の本堂杏虎選手(4年生)は、試合後ひとり涙を流した。そして本堂選手に寄り添ったのは、ハーフ団としてともに闘った、同じく4年生でバイスキャプテンの髙木陽太選手。

選手たちの未来に、幸多からんことを願う。

本堂選手は、埼玉県の川越ラグビースクール出身

 

試合終了後。監督にはキャプテンへの想いを、キャプテンには仲間への想いを、それぞれ伺った。

 

日体・田沼監督から、玉置キャプテンへのメッセージ。

「学生からの投票結果を4年生に渡し、4年生内で話し合って決まった玉置キャプテン。スタッフからの要望は『共同キャプテン制ではなく、キャプテン・バイスキャプテンをしっかりと決めること』だった。思っている形でのキャプテン就任ではなかったかもしれないが、本人がやると決めてくれた所からのキャプテンぶりは非常に素晴らしかった。後輩たちにもぜひ、見習ってほしい。

彼は私と同じように、決してラグビーの強豪校ではない高校から日体の門を叩いた。途中でポジションも変え、ロックとして活躍してくれた。今後はトップリーグに進むことになるが、本当にこれからが楽しみな選手。本当にありがとう、と伝えたいです。」

玉置キャプテンから、仲間へのメッセージ。

「ありがとう、この一言に尽きます。キャプテンに選んでもらったのは、投票もあるが最終的には4年生で話し合って僕に決めてくれた。このようにめちゃくちゃ口下手なので、最初はなかなか言葉でまとめることが出来なかった。自分なりに『体を張る』『背中を見せる』という部分でチームを引っ張ってきました。

4年生には多くのリーダー陣がおり、本当に彼らには助けてもらった。仲間がいなければここまでやってこれなかった。ただただありがとう、と感謝を伝えたいです。」

 

敗者でありながらも、背筋を伸ばし、凛とした姿がとても印象的だった田沼監督と玉置キャプテン。来年は、日体13年ぶりの選手権出場を目指す。

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