50分の物語
1st 25mins
松山聖陵のキックオフで試合がスタートすると、さっそく昌平は武器であるモールで見せ場を作る。
松山聖陵のラインアウトモールを、一発で押し返した。強い。自分たちの強みの使い方を、昌平フィフティーンは理解していた。
一方の松山聖陵も、負けてはいない。接点が激しく出足も早い。グラウンドから、バチバチと音がする。
「県大会の時とはDFが変わっていた。僕たちを研究されていた。」と昌平の黒埼慎之助キャプテンは話す。それもそのはず。松山聖陵の中村一貴キャプテン曰く「ワイドに振られたらしんどいことが分かっていた。なるべく近場で仕留めようとした」のだ。
昌平がようやく鉄壁のディフェンスをこじ開けたのは、前半13分。敵陣10m付近のラインアウトからフェーズを重ねると、最後は3番・菅野侑多朗選手が左サイドを突いてトライ。7-0と先制する。
スロースターターな昌平は、いつもより10分短いゲーム時間をどうマネジメントしていくかが鍵。できるだけ早く、次のトライを取りたい。
しかし、なかなかチャンスを仕留め切れない。敵陣まで攻めては戻され、攻められては戻しの時間が続く。少ないチャンスをものにしたのは、松山聖陵だった。
ゴール前5mの位置でラックを作ると、左に展開。10番・中村一貴キャプテンがふわっと浮いたキックパスを左隅へ蹴れば、11番・永江優那選手が見事キャッチしグラウンディングした。前半22分、5点を返す。
前半ラストプレーでチャンスエリアに入ったのは昌平だった。敵陣20m付近からラインアウトモールで押し込もうとチャレンジするも崩れ、12番の黒埼キャプテンが左のオープンサイドに持ちだす。ただ、ここでも取り切れない。インゴールまであと1mという所で、相手にボールが渡ってしまう。
最後に一本取り切れなかった昌平。対して守り切ったのは松山聖陵。
前半を、7-5のロースコアで折り返す。