昌平v松山聖陵(1回戦2日目)【第100回全国高等学校ラグビーフットボール大会】

2nd 25mins

ハーフタイムに入ると、チームメイトを早く集合させようと「ジョグジョグ!昌平!」と声を掛けた、6番の山口大悟バイスキャプテン。怪我明けの復帰初戦となったこの試合、接点にディフェンスラインに彼がいるといないのとでは厚みが違う。心強い味方が、帰ってきた。


昌平トライ後、松山聖陵の選手からボールを受け取る山口大悟選手

後半開始早々、ギアを上げてきたのは昌平だった。

敵陣深くでラインアウトのチャンスを得ると、モールを一気に押し込み最後はNo.8・水野泰治選手がトライ。15番の北川拓来選手が危なげなくコンバージョンゴールを成功させ、14-5とリードを広げた。

「昌平、エリアねエリア」と声を掛けた黒埼キャプテン。そう、いつもより短いプレー時間だからこそ、戦うエリアとそこで選択するプレーの質が重要になってくる。


ハイタックルを受けた場面について、レフェリーに確認しに行った黒埼主将。キャプテンに必要不可欠なコミュニケーション力を兼ね備えている

しかし、注意したって攻められてしまうのは、相手も同じく必死で戦っているから。

松山聖陵はハーフウェイ付近でのマイボールラインアウトから9番→7番→10番と繋ぐと、ディフェンスラインのギャップをすり抜けたスタンドオフの中村キャプテンが30mの独走トライ。昌平のバックス陣の手が引っかからない程、一瞬で駆け抜けた。後半6分、14-12と松山聖陵が2点差まで追い上げる。

さて、ここで一つ、中村キャプテンの人間力の素晴らしさをお伝えしたい。

14-12と競った場面で、松山聖陵の選手が昌平9番に危険なタックルを見舞ってしまう。するとすかさず中村キャプテンは「9番!ごめん!」と謝りに行ったのだ。「危険なタックルだったと自分でも思った。ラグビーは紳士のスポーツなので、相手へのリスペクトを込めて声を掛けに行った。」

プレーは熱く、でも心は優しく。素晴らしいリーダーシップを兼ね備えたキャプテンの、ラグビー精神を垣間見た。

2点差まで迫られた昌平は、それでも慌てない。どれだけ自陣深くまで攻め込まれようとも、不思議な程落ち着いてそれぞれが自分の役割を全うしていた。

それはきっと、自分たちのフォワード力を信じていたから、かもしれない。

松山聖陵の、激しく果敢な接点へのチャレンジを上回った、昌平のFW陣。心強いフォワードたちが、要所要所でジャッカルを幾度も決めてくれた。この試合、果たして何度「入ったー!」と声が聞こえただろう。強力なバックスを躍動させるため、FW陣の献身的な活躍が光った。

そんなFWの頑張りに応えるかのように、昌平のBK陣も華麗なトライを見せる。

後半20分。15番の北川拓来選手が敵陣22m中央付近からグラバーキックを蹴ると、左の大外に控えていた10番・篠崎虎太郎選手がキャッチ。タッチライン際で相手をハンドオフで交わせば、ゴール中央に持ち込んだ。21-12、1トライ1ゴール差以上のリードを残り5分で昌平が得た。

そして試合終了間際、ダメ押しのトライを決めたのは昌平21番・小沼勇貴選手。左隅に飛び込むと、勝負あり。

26-12、昌平高校が2回戦進出を決めた。

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