インスパイアしたドコモと、苦しんだキヤノン。|キヤノンvNTTドコモ<TL2021> 

80分の物語

キヤノン:赤ジャージ、NTTドコモ:黒ジャージ

キヤノンイーグルス サイド

試合後、沢木敬介監督は言った。

「言い訳にならない。今日は、自分たちで自分たちを苦しめるラグビーをした。」

前半あった4トライ程のチャンスを、仕留められなかった。結果、最後の逆転劇が生まれてしまった。

監督席前方に儲けられた記者席。試合中、沢木監督が無線を通じて指示を出す声がかすかに聞こえてくる。

試合冒頭、キヤノンが初めて敵陣深くに攻め込んだタイミングでは「丁寧にいこう」との声が。しかし、直後にノックオン。トライ好機を逃す。

前半16分、自陣22m付近に蹴り込まれた時には「このブレイクダウンこのブレイクダウン、ブレイクダウン!」と注意を促す。が、吹かれた笛はキヤノンにノットリリースザボールの反則。自陣22m内で「このブレイクダウン」でペナルティを犯すことは、イコール3点を許すことに繋がる。


沢木監督からの信頼も厚い、南アフリカ代表のジェシー・クリエル選手。攻守に活躍しトライも奪った

後半になると、記者席に届く回数とボリュームが増した。熱い声が、響く。

後半23分過ぎ。17-13とリードを広げた直後に攻め込まれると「我慢だよ」「ノーペナルティ」の声が飛ぶ。

が、三度のしかし。ここでもキヤノンの反則。リスタートをNTTドコモのスクラムハーフ、TJ・ペレナラ選手選手がクイックタップで走り出すと、そのまま繋がれてトライを許した。

「我慢」「ノーペナルティ」の声は飛んだ。だがそれを遂行するには何かが足りなかった。いや、ボタンのかけ方が少しちぐはぐだったのかもしれない。

「自分たちがやろうとしていることには程遠い。今日は自分たちの自滅です。ああいう(後半のPG勝負にもつれる)展開になるまでに仕留めることが出来なかったことが問題。」

指揮官が言う「自分たちがやろうとしていること」が、シーズン早い段階で形になることを願う。


「現状を受け入れないと、成長できない」と語った田村優キャプテン。ふくらはぎに違和感があるため、これから検査をしに行くとのことだった

His story ~キヤノンイーグルス

何度も何度も、大きく手を叩いて選手たちを鼓舞し続けた人がいる。

佐々木隆道FWコーチ、37歳。昨シーズン限りで現役を引退し、今シーズンからキヤノンでコーチ業を本格スタートさせた。

試合前、FW陣のウォーミングアップを任されたのは佐々木コーチだった。アタック練習では、ディフェンスに入って練習相手にもなった。

試合中は一転、ウォーターとして選手に一番近い所から試合を見守る。

プレーがストップすると、「Let’s Go Canon!」と手を叩きながら大きな声で選手たちにエネルギーを届け続けた。

コーチとして初めての試合は、悔しい敗戦。

高校・大学・社会人と全てのカテゴリーでキャプテンを経験した選手は、これからどんな試合を、選手たちを生み出していくのだろうか。指導者としてのHis Storyは、はじまったばかりだ。


選手時代よりもずいぶんと引き締まった姿が印象的

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