飛び抜けた選手がいない。だから、ひたむきに|高校選抜ラグビー2回戦<桐蔭学園v京都成章>

2回戦 桐蔭学園高等学校v京都成章高等学校

ラグビーとは、判断のスポーツである。改めてそう感じた試合だった。

プレーが止まった時に、素早く再開するのかゆっくりと時間を掛けて配置に着くのか。

どのブレイクダウンに入るのか、今はポイントに寄った方がいいのか開いてディフェンスラインを広く構えた方がいいのか。

それまで蓄積した状況から、これから起こりうること、もしくは起こすべきアクションの最善手を0.0数秒で捻り出す。

一瞬でも遅れ敵に隙を見せれば、当たられオーバーに入られボールを失うことと同義語だ。

しかし、要はここから。

判断を1人だけでしても仕方がない。

フィールド上にいる15人が同じタイミングで同じ結論を導き出さねば、これまた手元にボールはやってこない。

 

この日桐蔭学園のゲームキャプテンを務めた小椋健介選手(4番)は「焦りから、いらない判断をしてしまった」と話した。

後半23分までわずか4点差のリード。苦しい2回戦を、勝ち切った。

「僕たちの代には、去年までのように飛び抜けた選手がいない。だからこそ、ひた向きにシンプルに、全員が全力を出し切ることを大事にしています。」

今年のテーマは「毅」にした。毅然の毅、剛毅の毅。「自分たちの色を出そう、と新3年生で決めました。」

自分達のカラーを出す。そのために、新しく始めたことがある。

リーダー陣でのミーティングだ。

1日の練習時間が限られているため、帰宅後に中島潤一郎キャプテンとバイスキャプテンの3人(小椋選手、小山田裕悟選手、今野椋平選手)は毎日、30分程ZOOMを囲む。

時折、全メンバーでのZOOMミーティングをすることもある。

経験値が少ないことを、マイナスにしない。

全員が同じ時に同じ判断ができるよう、リーダーたちが先頭に立って道を指し示す。

 

高校選抜ラグビー3連覇中の桐蔭学園は、2回戦で関西の雄・京都成章と対戦。

僅か3か月程前に行われた、花園の決勝カードだった。

ベンチからは、何度も判断を促す言葉が飛んだ。ポジショニングの是非を問う言葉が、投げ掛けられた。

 

「気持ち見せろ!」「出し切るぞ!」

こういう気持ちが全面に出るのが高校ラグビーであれば、数多もの状況判断をクールに実直に行うのもまた、高校ラグビーである。

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