緊迫の60分は、オシャレなキックパスと接点が要|高校選抜ラグビー <準決勝・桐蔭学園v大阪桐蔭>

準決勝 桐蔭学園高等学校v大阪桐蔭高等学校

最後までどちらに転ぶかわからない、緊迫した時間が続いた。

試合序盤、桐蔭学園がペナルティゴールと1トライ1ゴールで10点のリードを奪えば、前半終了間際にスクラムから大阪桐蔭が1トライ返し10-5で折り返す。

後半、ここが勝負所とみた大阪桐蔭フィフティーンから「行くぞー!」との叫び声が聞こえると、直後のラインアウトで10番・長田荘平選手がトライ。コンバージョンゴールも決まり、後半13分には10-12と逆転に成功する。

しかしその僅か5分後、桐蔭学園は敵陣深くに攻め込むと、インゴールに蹴り込まれたグラバーキックを13番・森草知選手が押さえてトライ。17-12と、再びリードを奪った。


後半13分、大阪桐蔭のトライ直後

後半も27分を過ぎた頃。

5点を追いかける大阪桐蔭は、ハーフウェイ付近でマイボールスクラムを獲得すると、No.8の林慶音選手がフォワードを集めた。

「最後トライを取り切ったら、トライ数の差で勝てるぞ、と。まずはフォワードが流れに乗り、しっかりスコアに繋げて勝ち切ろう、と話しました。」

スコアボードを指差しながら、冷静に、だけど気持ちを込めて語りかける。


力強いボールキャリーから3度もラインブレイクした林選手(写真中央)

だが。

それまで上回っていた接点で、相手にペナルティを取られてしまう。大事な局面で、どうしてもボールをキープし前に進めることが出来ない。

「少し、桐蔭学園さんの雰囲気にのまれてしまった。桐蔭学園さんのフィジカルとスピードのあるランナーで前へ出られてしまい、自分たちの雰囲気が下がってしまった部分がある。」

勝負所の一手で勝てず、ノーサイド。大阪桐蔭、悔しい準決勝敗退となった。

冬に向け、大阪桐蔭はこだわりの接点を更に強固な武器にしたいという。

「しっかり前に出ていくために、今日の反省を活かした練習をしていく。冬の花園では桐蔭学園さんにリベンジして、日本一を獲りたいと思います。(林選手)」

チーム一丸となって、花園の舞台でリベンジを誓う。

 

***

小椋健介ゲームキャプテンは、昨日とは全く違う清々しい表情でインタビューゾーンへ足を運んだ。

「やっと改善できました、ありがとうございます。」

準々決勝で全く取れなかったマイボールラインアウト。試合後ホテルに帰ると、一学年上のフッカー・中山大暉先輩にアドバイスを求めた。

「オプション自体は増やすけど、難しいことをやらなくていいのではないかと言われました。確かにそうだなと思ったので、従来のライン人数に戻しシンプルに考えるようにしました。」

アドバイスのお陰もあって、準決勝では全てのマイボールラインアウトをキープ。昨日はバックスに助けてもらったが、今日はフォワードがバックスを支えた。

目指すは大会4連覇のみ。

「僕たちの代には、去年までのように飛び抜けた選手がいない。だからこそ、ひた向きにシンプルに、全員が全力を出し切ることを大事にしています。」

いよいよ残るはあと一戦。決勝の舞台でも、自分たちのカラーを信じて毅然と闘う。

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