パナソニック、ホームで1位通過を決める。ヤマハは悔しい4敗目|TL第7節<パナソニックvヤマハ>

80分の物語

パナソニック:青ジャージ、ヤマハ:赤ジャージ

HISTORY of Panasonic Wild Knights

ジャパンラグビートップリーグ2021 ファーストステージ最終節。

前節、神戸製鋼との全勝対決を引き分けで終えたパナソニックは、自力でのホワイトカンファレンス1位通過のために3トライ差以上をつけて勝利する必要があった。

今季は堅実なディフェンスで相手を疲れさせ、後半に仕留める展開が続いたが、この試合はキックオフ直後からスコアを動かす。

試合開始58秒。

この日10番をつけた山沢拓也選手がキックパスを蹴り上げると、チームメイトだからこそ読み取れる軌道の先で14番・竹山晃暉選手がボールを拾い上げ、トライ。

美しいノーホイッスルトライで先制を奪う。

15分、28分にも両センターがグラウンディングすれば、前半を1トライのリードで折り返した。


最後尾から何度も大きくゲインした15番・野口竜司選手(写真右)。ボールを受け取るは、大黒柱のベン・ガンター選手(6番)

後半に入ると、更に勢いを増す。

6分、敵陣でのマイボールラインアウトから左に展開すると、竹山選手から絶妙なタイミングで13番ディラン・ライリー選手に渡り、そのままトライ。

前半最終盤、ヤマハに連続トライを奪われたが、試合の流れは渡さないと言わんばかりの連携で後半最初のスコアを決めた。


178㎝と小柄ながら、ボールの争奪局面にはめっぽう強い布巻峻介選手(7番)。福岡堅樹選手が怪我で傷んだ時には、堀江選手とともに寄り添った

その後もディフェンスから流れを作り続け、ボールを手にすると着実にスコアを伸ばしたパナソニック。

後半奪ったトライは5本。前半と合わせ計8本のトライは、3トライ差以上の勝利には充分だった。

神戸製鋼の試合結果を待たずして、ホワイトカンファレンス1位通過を決めたパナソニック。

プレーオフトーナメント準々決勝で、再びホーム・熊谷の地に戻ってくるチャンスを得た。


試合後、ファンに挨拶する面々

 

***

この日がパナソニックでの記念すべき150キャップ目となった堀江翔太選手。

試合中、相手に流れが渡りそうな場面では「コミュニケーション取っていこう」と声を掛けピンチを脱出する。

スキルフルなプレーは周知の事実だが、リーダーシップも超一流だ。


指揮官にも「素晴らしい、この一言。コーチとしてこのような選手をコーチできることを光栄に思う」と言わしめる堀江選手

今季初めての先発を任されると、プレータイムは後半23分まで続いた。

フィールド上で声を出し続けた頼れるフッカーは、ベンチに戻った後も変わらずずっと、声を出し続ける。

「我慢」「そうそうそうそれでいい」「Go、ゴーゴーゴー!」

スクラムが上手く組めなかった時には、18番の平野翔平選手に声を掛け、アドバイスを送った。

記念すべき自身の150キャップを勝利とともに迎えられたのは、他でもない自身のリーダーシップがあってこそ。

「成長するチャンスはまだまだある。一試合一試合成長して、決勝に進みたい。」

最後のトップリーグを優勝で終えるためにも、チームメイトと進化を続ける。



His story of Dylan Riley

2018年に加入し、パナソニックでのプレーも4年目に突入した23歳。

加入当初は、ヘッドキャップと長髪を束ねたポニーテールがトレードマークだったが、今では短く刈り上げた。

変わったのは髪型だけではない。プレーも、大きく進化している。

自身の進化した点を問われると「ボールキャリーの強さと状況判断」と答えたライリー選手。

ヤマハと戦ったこの日、ライリー選手にしか見えないコース取りで初めてのハットトリック。

ディフェンス面では幾度もタックルに入り、幾度もピンチの場面で砦となった。

パナソニックで経験を積むことで養われた状況判断力は、今年、間違いなくライリー選手の武器となっている。

「日本に来て大きな成長を得た。来日した1日目から、チームのみんなが助けてくれた。このチームでプレー出来ていることを嬉しく思います。」

試合中、バックスメンバーと密にコミュニケーションを取る姿も目を引く。チームメイトとの信頼関係も、厚い。

「今日の僕のパフォーマンス、そして勝利は、ファンの皆様と本日ワイルドナイツでの150キャップを獲得した堀江翔太さんに捧げます。」

より巧さを増した心優しきオージーの、日本代表入りが待ち望まれる。

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