The Side of 早稲田大学
ファーストクオーターが終わって、大量得点差を覚悟した。
しかし実際には、ノーサイドの瞬間まで勝ち星の行方は分からなかった。
後半38分に河瀬選手がトライを奪うと、長田キャプテンはこの日初めて表情を緩めた
何本組もうと、スクラムは帝京の独壇場。
組む度に押され、そしてペナルティを取られた。
「8人の密度を意識して臨んだが、帝京のプレッシャーに自分たちのセットアップが出来ないままエンゲージしてしまった」と話すのは、1年次からワセダのスクラムを背負ってきた小林賢太選手。この日もレフリーとのコミュニケーションには積極的に参加し、バイスキャプテンとして、そしてスクラムの雄としてフォワードをまとめた。
前半のペナルティは3つ。その全てが、スクラムコラプシングだった。
「ハーフタイムには、自分たちのセットアップに立ち返ろうと声を掛けた。後半最初のスクラムでは、この日一番良いスクラムを組めたと思う」と振り返る。
スクラムでペナルティを取られようとも、決して大崩れしなかった早稲田陣。フィールドプレーで規律高く戦ったことも、要因の一つに挙げられる。
すると次第に得意とする展開ラグビーが頭角を現し、後半6分、小林賢太選手からボールを受けた1年生スクラムハーフ・宮尾昌典選手がトライを奪う。
試合最終盤にはフルバックの河瀬諒介選手が相手を交わしながら敵陣を切り裂き、1トライ1アシストを重ねた。
きっと早稲田は80分通してこういうプレーがしたかったのだろう、と見ている万人に伝わるような最後の10分間。
同点を狙い、最後まで体をぶつけ続けた。
相良、河瀬、佐藤。そしてまた、相良。
当たって当たって、同点引き分けを手繰り寄せようとした。
客席からも、選手たちの背中を押すように手拍子が鳴り始めるが、しかしFWが当たるということは同時にハイリスクであるということ。
最後はボールを奪われ、外に出される。
接点が重要になるとチーム全員で話していたからこそ、この日の出来には課題が残ると長田智希キャプテンは口にする。
「この後が大事。リーダーとしてチームをさらにレベルアップさせられるよう、チャレンジしたい。」
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